大きく改変された墳丘だが石室はなかなかのもの
ここを古墳に関心のない人が訪れたならば、現代の墓地としか思わないのではないでしょうか。若干の盛りあがった墳丘が残されているのでもしかしたらと思うかもしれませんが、石室の存在に気づくでしょうか。それほど改変が著しいことは2本の動画の石室以外のシーンから十分にくみ取ることができると思われます。寺の本堂横にはモダンな住居が建ち、ここが前方後円墳のくびれなのと反問したくなるほどです。
ですからあまり石室についても期待はしていなかったのですが、よい意味でその期待は裏切られました。よくぞここまで残ったと大いに関心するレベルです。下部をコンクリートで固められた2mあまりの羨道部はともかく、5.7mの玄室はチャートを用いた乱積みですが奥壁は大型の板石を二枚上下に置いています。天井高は1.7m前後とさほどなく、他方、幅は最大で2.15m ありますから全体として細長い印象を持ちました。石室はよくみると奥壁から見て左側壁がやや右側壁に比べ低くなっています。天井の板石も斜めにかけられています。墳丘は後円部、前方部ともに部分的に残り、特に前方部は隅が削られ丸くなっています。なお周濠がめぐり葺石が葺かれていたことがわかっています。葺石も復元されている口明塚古墳(クリックすれば飛べます)から300mほど南に位置し、流れは大きく異なっているようですが渡良瀬川が目の前です(撮影2019年1月10日)。
正善寺古墳基本情報
所在地 足利市常見町
形状 前方後円墳
規模 墳長103m 後円部径62m 高さ6m、 前方部幅73m 高さ4m
葺石あり、周濠あり、石室長7.5m、羨道長さ 1.8m 高さ1.15m幅1m、
玄室長さ 5.7m 高さ1.7m 幅2.15m
築造時期 6C後半
出土品 不明
史跡指定 足利市
特記事項 なし
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