海岸べりの雑木林に佇む積石塚の数々
長島町の古墳はすでに鬼塚1号墳、白金古墳(クリックすれば飛べます)を紹介しています。いずれも風雨に晒され本来の積石塚は半壊状態になっていましたが、今回の小規模な積石塚の数々も同様の状況にあります。ただ、今回の明神古墳群は海岸沿いの雑木林のなかに点在しているため(100mのところに30基)でしょうか独特の雰囲気を醸し出しています。どこを歩いても積石塚の崩れたスレート状の板石がゴロゴロしており足の踏み場もないほどです。ここから築かれた当時の姿を想像することは容易ではありません。はっきりしていることはいずれの積石塚も鬼塚1号や白金古墳ほどには大きくなく階層でいえばより下のクラスの人々の墓ということになりましょうか。
1号は説明板によれば竪穴式石室、2号から5号は横穴系の竪穴式石室、6号は横穴式石室だそうです。違いの判別がかなり難しく横穴系の竪穴式石室と横穴式石室との違いはいまだによくわかりません。積石塚による古墳の復元模型などが長島町歴史民俗資料館にあればより理解が進むのにと思いながら古墳をあとにしました。それにしてもgoogle mapからお分かりのように積石塚は海岸ギリギリのところに築かれています(長島町には長さ180mのところに140基を越える積石塚が築かれた指江古墳群がある)。被葬者達は東シナ海で海運(水運)に従事していたことを疑う人はいないのではないでしょうか(撮影2018年2月22日)。
動画をアップしたあとに吉村靖徳さんの「九州の古墳」(海鳥社、2015)の明神古墳群のところを見返したところ、竪穴系の横口式(横穴系)石室とは、竪穴式石槨(石の囲い)の一方に横口を設けたものでした。竪穴式石槨のように幅が狭いため、遺体は石室の主軸に沿って置かれる
ことになるのだそうです。しかしこれでは追葬は難しいという疑問は消えません。いずれにせよ
墳丘は自然石を積み上げて造られ、白金古墳、鬼塚1号墳など小浜崎古墳群とともに、ここ長島は積石塚の南限域とありました。
神明古墳群基本データ
所在地 鹿児島県長島町
形状 積石塚
規模 長さ3m 幅1mほどの積石塚 埋葬部が半壊状態で保存 約30基
築造時期 6C後7C初
出土品 鉄刀、鉄鏃、錐、土師器、須恵器、人骨
史跡指定 鹿児島県
特記事項 なし
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