中海を見下ろす中型の前方後方墳
2014年にはじめて訪れた時は静止画像しか撮らなかったので再訪。雨の予報のなか荒島の駅から古代出雲王領の丘公園に急ぎます。わかりやすく迷うことはありません。名残りの鯉のぼりがたなびく公園の入り口からかなり急な階段を登ると6C初めに築かれた造山2号墳が見えます。既に紹介した200年前以上前に築かれた大型方墳の造山3号墳、1号墳(クリックすれば飛べます)よりも高地にあり動画4で見るように中海を見下ろす絶景の地にあります。
比較的小さな石による葺石が葺かれていたようで(くびれに残存)太陽の光に輝く円筒埴輪が立ち並ぶ二段築成の墳丘は古代の人々には大きなインパクトを与えたに違いありません。残念ながら説明板によると埋葬施設を含め発掘調査は行われていません。ただ前方部から埋葬施設の石材の一部が採取されたことから後方部と二か所埋葬施設があると見られているようです。竪穴石室でしょうか。前方部幅は後方部一辺よりやや狭い程度で発達していることは動画2からおわかりいただけます。2号墳の東側には円筒埴輪が裾部に並ぶ小さな方墳の4号墳があり、埴輪が2号墳と類似していることから同じ6C初頭に築かれたと考えられています。
それにしても出雲の地は方墳、前方後方墳の比率が古墳時代を通じて高いですね。現在でも見学可能な古墳の多くが方墳系の印象すら持ちます。畿内とは違う造墓方針が採用されていたということになりますが、それだけヤマト王権とは距離を置く地だったのでしょう。時代は下り6C央になりますが古墳時代後期では最大規模、墳長94mの前方後方墳、山代二子塚古墳が安来市よりも東の松江市に築かれています(クリックすれば飛べます)荒島駅から県道190号線を山陰本線沿いに500mほど西に歩くと古代王陵の丘公園の立て看板が見えます。この後塩津山公園、宮山公園、中仙寺公園と歩くのがよいと思います(撮影2016年5月11日)。
造山2号墳(造山古墳群) 基本データ
所在地 島根県安来市荒島
形状 前方後方墳
墳長 50m 後方部一辺30m高さ 5m、 前方部幅26m 高さ 3m(?)
葺石 埴輪あり
出土品 円筒、朝顔、人物埴輪
築造時期 6C初頭
史跡指定 国指定
特記事項 埋葬施設 後方部 前方部ともにあったと推察
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