後円部と前方部の対比が見事な90号墳
国の特別史跡、宮崎県西都市の西都原古墳群8回目の紹介です。それにしても大変な数の古墳が残されていることに改めて驚かされます。全体で319基。前方後円墳は31基、円墳286基、方墳2基です。今回の90号、92号、100号は全部で11群に分類されている古墳群中、北東に位置する第2古墳群に属します。前方後円墳10基を含む36基からなっています。全体で前方後円墳は31基しかないなか第2古墳群に10基も築かれているのはどういうことなのでしょうか。興味深いところです。全て古墳時代前期に造られていますから(100号、92号、90号の順で築造と考えられている)この時期はヤマト王権の「縛り」がさほど強くなかったからなのでしょうか。
肝心の各古墳ですが西都原古墳群中三番目の大きさになる墳長96mの前方後円墳90号はその美しさに惹かれました。特に動画の冒頭にあるように木立のすき間から覗く前方部が細く長い姿は個人的には全国の前方後円墳のなかでもお気に入りの1基になりそうです。92号、100号の墳長は90号の半分ほどの前方後円墳ですが、100号はレーザー探査が行われ後円部3段、前方部2段の段築が確認され墳丘斜面には葺石が葺かれていたこともわかっています。最近まで当時の葺石を露出展示していたようですが墳丘の保護の観点から、芝生と盛土による再整備をおこなうことにしたのだそうです。自然保存の90号と違い、整備されると墳丘の形がよくわかりますが、何か造られたという印象は否めません。なお説明では前方部先端は広がるバチ型とされていますが見た感じでは広がっていない柄鏡形のように見えました(撮影2019年10月26日)。動画中、92号のキャプション 前報部は前方部の誤りです。
これまでアップした西都原古墳群の古墳は以下のとおりです。クリックすれば飛べます。
西都原古墳群(1)13号と35号 中規模の前方後円墳だが石室も見れる
西都原古墳群(2)169号 遠くからの姿が美しい大型円墳
西都原古墳群(3)鬼の窟(いわや)古墳 要塞のように見える中型円墳と石室
西都原古墳群(4)170号と171号 女狭穂・男狭穂の二基の陪塚
西都原古墳群(5)202号 古墳群中最も遅くに築かれた前方後円墳
西都原古墳群(6)46号 さすがは国の特別史跡、西都原古墳群の一基
西都原古墳群(7)美しい柄鏡形前方後円墳
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