四国第二位の前方後円墳


   前方後円墳築造の大きな理由が権力者の力の誇示であったことは知られていますが、そのためには人々にその存在をアピールできる場所に造られなければなりません。その点で、今回の渋野丸山古墳の非常にわかりやすいところに造られています。目の前に多々良川が流れる(5㎞ほど先の瀬戸内海に注ぐ勝浦川に合流する)丘陵裾に造られ、水陸ともに交通の要所だったことがわかります。

 ところがそれは古墳時代の話。現在、徳島駅から公共交通機関を使って現地を訪れるとなると結構大変でした。JR牟岐線で文化の森駅まで行き、そこから路線バス丈六寺行きに乗り換え、古墳前下車という具合です。皆さん車での移動のためでしょうか。行きの乗客は私一人。それでも帰りのバス停で待っていたおばあちゃんと話がはずみ、自分のところで採れたキーゥイを頂戴するというハプニングも。

本題に戻りますが、以前みた古墳の写真は樹木が生い茂り墳丘を遠くから確認できる状況ではありませんでした。なかなか訪問の機会がなかったのもそうしたことも理由の一つだったのですが、徳島市が整備計画に向けて再度の発掘調査を行い、それに伴い地元の方々の協力も得て墳丘の樹木、竹林を伐採したと聞き今回の訪問ということになりました。

 やはり前方後円墳は墳丘に近づけるというのが大きなポイントだと改めて思いました。現在ではかつて民家があり三分の二ほどに削られている後円部の北側にまわると竹林に覆われた墳丘が見えました(動画1)。遊歩道のような道の先の先には長く伸びた前方部が見えます。円墳や方墳だとこうはいきません。円と方が一体化した前方後円墳という独特な形は歩いて体感することが一番です。前方部から後円部に歩くと、後円部が左右に広がっていることがよくわかります(動画2)。植生を考えてのことでしょうか。北側は竹林を残し、南側は本来三段あった段築の墳丘がわかるように草を刈ってあります。もとは葺石があり円筒埴輪はじめ朝顔など形象埴輪が置かれていたことがわかっています。また、南側くびれに12m×5mの造出しと、墳丘を取り囲むように周濠が廻っていたことが確認されています。周濠をいれると墳長は118mになります。なお香川県さぬき市の富田茶臼山古墳(クリックすれば飛べます)についで四国で二番目に大きな前方後円墳です(撮影2019115日)。
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渋野丸山古墳基本データ

所在地 徳島県徳島市渋野町

形状 前方後円墳

規模 墳長105m、後円部径69m 高さ18m、前方部幅59m 高さ16m

葺石、3段築成、周濠

築造時期 5C

出土品 円筒、形象(家、朝顔、盾等)埴輪、土師器

史跡指定 国指定

特記事項 公園化するための保存整備計画が策定されている


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