巨大な石棺が丸ごと石室


 既に島根県安来市の古代出雲の王領の丘にある古墳のいくつかを紹介しましたが(たとえば造山2号墳クリックすれば飛べます)そこから日本海沿いに東に30㎞ほどのところ、鳥取県米子市に今回の岩屋古墳(向山1号)はあります。日本海を望み背後には大山が控える小高い丘に10数基の古墳が5C末から6C末の古墳時代後期に築かれています(向山古墳群)。岩屋古墳は最も遅くに築かれた横穴石室を持つ前方後円墳です。墳長は52mとさほど大きくはありません。くびれではなく後円部に造出しが設けられていたようです。さきたま古墳群の将軍山古墳と同様です(クリックすれば飛べます)。肝心の墳丘ですが初夏に訪れたためにどの古墳も緑一色。岩屋古墳もよくみないと前方部と後円部の違いもわかりません。救いは石室の見学には支障がなかったことでした。

動画でおわかりのように石棺ごと玄室(奥室)になっています。大阪羽曳野市の観音塚古墳お亀石古墳(クリックすれば飛べます)も石棺の辺の一部をくり抜き遺体を埋葬していましたが、こちらのほうは4.8m×2.8m、高さ2.5mもある巨大な石棺が丸ごと石室になっています。しかも壁石は一枚の板石です。塗られた朱がうっすらと残っています。手前の前室も同様のつくりですが天井石がなくなっています。崩壊を防ぐために入口には覆家とステンレス製の枠が設置されていますがもう少し古墳時代に相応しい気の利いた保護措置があってもよいのではないかと思いました。それでも崩壊の危険ありとして埋め戻し見学もできない石室が増加している現在、大変貴重です。アクセスはJR山陰本線淀江駅から徒歩で30分ほど。駅を北に歩き広域農道310号線を目指します。その道を白鳳高校前の信号まで進み右折、500mほどで右手に公園入口があります(撮影2016年7月7日)。
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岩屋古墳(向山古墳群)基本データ

所在地 鳥取県米子市

形状 前方後円墳

規模 墳長52m、後円部径30m 高さ6m、前方部幅20m 高さ

築造時期 6C

出土品 須恵器、円筒埴輪、人・馬・水鳥など形象埴輪、馬具

史跡指定 向山古墳群として国指定

特記事項 横穴石室  長さ9m、奥室(石棺) 4.8m×2.8m高さ2.5mの石棺式石室


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