要塞のように見える中型円墳と石室
宮崎県西都市にある国の特別史跡西都原古墳群の三回目です。一回目は前期古墳の35号墳と13号墳(古墳名をクリックすれば飛べます)を紹介しましたが二回目は群中最大規模の前方後円墳陵墓参考地の女狭穂塚、男狭穂塚古墳の陪塚と考えられている円墳169号墳でした(クリックすれば飛べます)。今回は206号墳に指定されている鬼の窟(いわや)古墳です。
冒頭の遠景でおわかりのように周堤のせいでしょうかまるで要塞のように見えます。円墳の高さは7.3m、径は36.4m×33.6mとややいびつです。動画キャプションはアバウト表記です。北郷泰道さんの『西都原古墳群』(同成社、2005年)によれば二重目の周濠がめぐり、内堀から外堀に向けた排水施設が確認されています。その部分に表示があるのに気が付きました。副葬品は盗掘のためかほとんど残されていなかったようで石室からは馬具の破片や釘および、須恵器、土師器が出土しているだけのようです。玄室は羨道より幅の広い両袖型ですが(、石室内の照明が強すぎて、この石室の特徴がわかりずらくなっています。
円墳を囲む周濠の外側にさらに周る堤。実に印象的です。これまで数多くの円墳を紹介してきましたが、こうした光景に出会ったことはありません。黄金色の菜の花とのバランスが絶妙です。西都原古墳群を紹介するときに必ずといってよいほど使われる理由がよくわかります。他の地域であれば円墳の周囲には建物が立ち並び
眺望を妨げますが、さすが特別史跡です。西都原古墳群見学にはアクセスは宮交シティから一日2本出ている西都原考古博物館直行バス(復路も2本)を利用するのが便利です。1時間15分かかります(撮影日2017年3月23日)。(今回のアップしている動画は2023年2月に、元の動画から再度編集しなおしたものです)。
鬼の窟(いわや)古墳(169号墳)西都原古墳群(3)基本データ
所在地 宮崎県西都市
形状 円墳 二段築成 二重の周濠、周堤
規模 径36.4m×33.6m、高さ7.3m
築造時期 6C末
出土品 石室内から馬具片、棺釘、須恵器・土師器
史跡指定 国の特別史跡
特記事項 現在まで西都原古墳群中 唯一の横穴石室
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