後期に柄鏡型の前方後円墳
墳形がわかる前方後円墳を目の前にするとなぜかホッとします。今回の墳長55mほどの前方後円墳、長塚古墳は素人目にも築造当時の姿を想像することができます。意外だったのは南側周濠から6C前半の須恵器が出土し後期古墳ということが確実であるにもかかわらず、前方部は未発達で前期古墳の様相を呈しているということです。後円部径は31mに対して前方部幅は16.5m、高さも6.5mに対して3.6mしかありません。ひょっとして中期以降の古墳は前方部幅は後円部径よりも大きく広がり高さも高いという固定観念に陥っているのかもしれません。それにしても前期古墳の柄鏡型前方後円墳にそっくりです。そのことは周濠部分をぐるっと回ってみるとよくわかります。
訪れた時期が10月中旬だったためか後円部の木々は青々としており、動画3に見るように後円部頂から前方部方向の見通しは効きませんでした。また葺石がない一方墳丘には埴輪が立ち並んでいたことがわかっています。長塚古墳までの道のりは沼津駅から富士急シティバスで明治資料館前で下車し北に500mほどの距離のところにありますが、途中、愛鷹神社辺りからだらだらとした坂が続きます。この辺り一帯愛鷹山東南部に長塚古墳以外にも小円墳が多数あったそうで、長塚古墳はこの地域を支配した豪族のものだと考えられています。バスは一時間に2-3本ほどありアクセスは楽です(撮影日2016年10月11日)。
長塚古墳基本データ
所在地 静岡県沼津市東沢田字長塚
形状 前方後円墳
規模 墳長54m、後円部径31m 高さ6.5m、前方部幅16.5m 高さ3.6m
築造時期 6C前
出土品 鉄鉾、円筒 朝顔型 人物埴輪、須恵器
史跡指定 市指定
特記事項 なし
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