住宅街の公園に残る美形の円墳

現在では住宅が立て込む一角の公園に保存されている円墳は径35mほど。古墳の保存のために整備された公園なのであくまで主人公は円墳です。動画冒頭にあるように敷地内に入ると、

墳丘の端から端までがすっぽり目の前に広がります。無理して後退せずに全体像が分かる古墳も決して多くはありません。その点でも貴重です。径35mというのは大きすぎず、かといって小さすぎもせずちょうどよく、なかなかに美形な古墳だと思いました。ラッキーなことに墳丘裾の生垣が手入れされたばかりだからだったからかもしれません。

 この古墳、マップでおわかりのように多摩川の南西3㎞ほどのところの台地の端に築かれています。梶ヶ谷駅から歩くとよくわかるのですが、左側は多摩川に向かって低く、右側は高台で、西福寺古墳は標高約46mのところに築かれています。この地形からわかるように、西福寺古墳近くには馬絹古墳、宮崎大塚古墳(川崎市HP)はじめ数多くの古墳が築かれています。特に馬絹古墳の石室は10m近くもある両袖式の切石積みで、埋め戻される前の写真をみると、かなり立派です。馬絹古墳も径33m、高さ6mの円墳であることを考えると、ほぼ同じ規模の円墳である西福寺古墳も横穴石室のようにも思われます。ただ、馬絹古墳は7C初頭に対して、西福寺古墳はずっと古く、出土の円筒埴輪等からみて5C後半から6C初頭と考えられているので竪穴式石室の可能性も高そうです。他方、多摩川台古墳群の端に築かれた野毛大塚古墳(クリック)は中期ですが、竪穴式石室でした。

 西福寺古墳からさらに南にくだると美しい石室が残る加瀬台3号墳(クリック)もあります。多摩川周辺にはまだ訪ねていない古墳も残されていそうです(撮影20201014日)。
PNG 西福寺古墳(川崎市)所在地マップ 21年5月18日



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