今回紹介する中期古墳は前期に近い4C末に造られと考えられる栃木県大田原市にある上侍塚古墳です。既に那須八幡塚古墳(116)駒形大塚古墳1129日)、下侍塚古墳(1216)と那珂川流域の古墳を紹介していますが、今回の上侍塚古墳は、それらの古墳同様に前方後方墳で、しかも最も規模が大きい114mを誇っています。水田に囲まれた美しい墳丘は一目でわかります。前期から中期初期に築かれた一連の古墳のなかの最大ということは周辺地域を支配した首長でもよほど有力であったことは容易に想像ができます。しかも極めて興味深いことに、上侍塚古墳のあと4C末以降那須の地で大きな古墳を造営した勢力は急速に衰え、小規模な円墳などが点在するだけとなったのだそうです。徳川光圀公の命で発掘が行われ上侍塚古墳からは鏡や石釧、管玉が出土しましたが絵図に描かれたあと埋め戻されています(前方後方墳の世界、なす風土記の丘資料館、1993年)。
   動画1からもわかるように前方部は南に向けて築造されており、北50mにある上侍塚北古墳の墳頂(動画番外編)からは、二つの前方後方墳の並び方がよくわかります。せっかく農家の方に墳頂まで登っていいよといって下さったのに申し訳ないですが、民有地にある古墳の保存整備は大きな課題ではないでしょうか。上侍塚の美しい墳丘との落差はあまりに大きすぎます。

 アクセスはお世辞にもよいとはいえません。東京からだと一日がかりです。バスも下侍塚古墳を見学できる時間に到着できるのは日に2本しかないので注意が必要です。西那須野駅から東野バス五峯の湯行きで黒羽支所まで行き、今回の場合30分待って(前回はほとんど待たずに接続のバスがあった)、大田原市営バス黒羽・佐良土線に乗り換え侍塚駐車場下車です。近くにある上侍塚古墳をみて、294号線沿いに歩き下侍塚古墳を訪ねました。小規模な侍塚古墳群が下侍塚古墳横に控えます。見応え、訪ねる価値は十分すぎるほどです。計画を十分に練ってお出かけください(撮影2015年10月22日)。
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上侍塚古墳基本データ

所在地 栃木県大田原市 湯津上

形状 前方後方墳

規模 後方部 後方部60.5m×58m 高さ11.5m、前方部幅52m 高さ6.5m 葺石あり

築造時期 4C

出土品 捩文鏡、管玉、石釧、鉄鏃、甲冑片、鉄器片、鉄鉾身、鎧板、鎧片、鉄刀片、高坏等

史跡指定 国

特記事項 現在の水田側(西側)に周堀、埋葬施設は後方部に粘土郭

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