印象深い中規模の前方後円墳
今回紹介する後期古墳は三重県名張市の貴人塚古墳です。同じ美旗古墳群では2015年10月24日に馬塚古墳、11月13日には毘沙門塚古墳と5C央、5C後半築造の中期古墳を紹介していますが、それに続く古墳になります。動画で見る通り田んぼのど真ん中にぽつりと残る墳丘は遠目にも目立ちます。墳長55mと決して大きいとはいえませんが、周辺に遮るものがないためかもしれません。目に入った墳丘は枯草を燃やした直後だったために焼き畑のオブジェのようでなんとも形容しがたい姿でした。新緑の季節にでも再訪する必要がありそうです。
動画のキャプションでも触れていますが貴人塚古墳の前方部は後円部径と同じ35m、高さも同じ4.5mと発達しています。中期古墳の特徴をそのまま残した後期の古墳ということになります。3km四方の美旗盆地に点在する古墳群は全国古墳編年集成(石野博信編、1995、雄山閣出版)によれば、墳丘形状の変化から殿塚、女良塚(じょろうづか)、毘沙門塚、馬塚、貴人塚の順で築かれたと考えられているようです。残念ながら5C初頭に造られた殿塚、5C前半の女良塚は動画で紹介できるものが撮れていません。伊賀地方を支配した伊賀氏、名張氏の古墳ともいわれる古墳群の残りはいずれの機会に譲ることにしましょう。
貴人塚古墳は、近鉄大阪線(賢島方面行)に乗り、名張から二つ目の美旗駅下車し、駅から南東方向に500mほどのところにあります。美旗古墳群全体を歩くことを前提に美旗駅近くの美旗市民センターに寄り(美旗町南西原)古墳散策の地図をもらうことがよいと思います。近鉄大阪線に並行する道路を名張方面に戻り一つ目の信号を右折し(大阪線のガードをくぐる)300mほど直進すると前方後円墳型の美旗市民センターがみえます。徒歩15分(撮影2015年10月12日)。
貴人塚(美旗古墳群)基本データ
所在地 三重県名張市下小波田
形状 前方後円墳
規模 墳長55m、後円部径35m 高さ4.5m、前方部幅35m 高さ4.5m
築造時期 6C前半
出土品 円筒埴輪、須恵器
史跡指定 美旗古墳群として国指定
特記事項 なし
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