合掌造りの天井に度肝を抜かれた初期横穴石室
見慣れた横穴石室とは全く違うのではじめの印象は、これは何だろうという感じでした。説明を聞いて漸く理解できました。東石室見学用の現在の開口部は合掌造りになっている石室最上部の尖がりのところなのです。残念ながら崩落の恐れがあるそうで、中はご覧のように補強用の桟が縦横に走っており、視界を遮ります。それでもライトアップされているので床面の状況や壁面の割石積みの美しさはよくわかりました。石室は長さ2.95m、幅1.6mですが、天井部はその半分ほどでしょうか。残念ながら高さのデータは見つけられず、おそらく2.5mほどだと思われます。石室の様式にこだわれば竪穴式の石室の南側に開口部を設けた初期横穴式石室で、竪穴系横口式石室ともいうようです。いずれにせよ、合掌造りの石室天井部の印象が強烈でした。
墳長77mの前方後円墳としての墳丘は古墳時代前期の特徴をもっています。後円部径40mに対して前方部の幅は24m、後円部の高さが8mに対して前方部は3.5mと比高差がかなりあるからです。築造時期が中期でも前期に近い4C末と考えられているからでしょうか。後円部からは木立の先に広がる元は内海だったという唐津市街が広がります。豊富な副葬品とともに葬られた被葬者の権力の大きさが偲ばれます。東石室内から三角縁神獣鏡はじめ銅鏡が5面、石釧、玉類、鉄器類が、埋め戻された西石室からも三角縁神獣鏡を含む銅鏡2面、玉類、鉄器類が出土しています。JR筑肥線東唐津駅からタクシーを利用。見学は事前に唐津市教育委員会学習文化財課に申し込みをすれば可能です(撮影2019年12月17日)。