墳丘を自由に歩ける日本最大の前方後円墳
今回紹介する中期古墳は岡山県岡山市にある造山古墳(つくりやまこふん)です。現在の岡山県と広島県の東部等や兵庫県の西部の一部などを支配した吉備国の地域にあり、その盟主が眠っているとされる巨大古墳です。動画1に田畑の向こうに小山のように見える後円部が映っています。少しでもその雰囲気が伝わってくるとよいのですが・・・。データからみればその規模は大阪府堺市の百舌鳥古墳群にあって履中天皇陵に治定されている上石津ミサンザイ古墳に次ぐ全国で第4位の墳長350mを有します。両古墳の差は15mほどしかありませんからほぼ同じ大きさといってよいでしょう。前方部端の幅が後円部径よりもずっと広くなっている点も同じです(造山古墳にはミサンザイと違い周濠はない)。設計は同じ専門家集団によることは測量図からも推測できるそうです。5C前半、当時の吉備がヤマト王権と密接な関係をもっていたことを示す何よりの証拠かもしれません。造山古墳の周囲にはいずれ紹介する6基の陪塚が巡っています。
動画でご覧頂きたいのですが後円部から見る前方部は木々が伐採されたためでしょうか見通しもよく圧巻です。はじめて(動画を撮るために再訪)訪れた時は夏だったので墳丘は緑に覆われ前方部を十分に見通すことができず残念な思いをしたことを思い出します。関係者の造山古墳を大切にしたいという気持ちが伝わってきます。動画2の墳丘全体を見通せるところに来場者用の駐車場があるのも粋な計らいです。後円部は戦国時代に毛利氏が城を築いたために改変されています。
肝心なことを書き忘れるところでした。一般の人が墳丘に登れる古墳では造山古墳は日本で最大規模です。陵墓でも陵墓参考地でもないからです。そうした点でも貴重な古墳なのです。いずれ紹介する3kmほど吉備路を西に歩いた総社市の作山古墳(つくりやまこふん)も全国第9位の286mを誇り、こちらも登れます。造山と作山。同じつくりやま古墳のために地元の人は「ぞうざん」「さくざん」と呼んでいます。5C前半と中頃にそれぞれ造られています。十分に歩ける距離です。セットでどうぞ。
アクセスはJR吉備線の備中高松駅前を走る国道180号線の備中高松の信号を右折し、二つ目の高松中学校東の信号(ここに造山古墳の⇒表示)を西に1歩き足守川を渡ると動画1の景色が広がります(撮影2015年2月22日)。
造山古墳基本データ
所在地 岡山県岡山市北区新庄下
墳形 前方後円墳
規模 墳長350m、後円部径190m 高さ29m、前方部端幅215m 高さ 25m
三段築成、葺石あり
築造時期 5C前
出土品 円筒埴輪及び楯、靭(ゆき)、蓋(きぬがさ)家などの形象埴輪、古墳本体の発掘調査は行われていない
史跡指定 国指定
特記事項 前方部の荒(こう)神社の鐘楼脇に阿蘇凝灰岩製の長持型石棺(蓋なし)が置かれている。
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