長大な羨道を伴う畿内型石室
JR博多駅から長崎行特急かもめで丁度1時間。肥前鹿島駅に着きます。そこから祐徳バスで下車駅の誕生院まで10分ほど(1時間に1本はあります)。予想したよりもはるかに開けていています。道路沿いには量販店やドラッグストア、ガソリンスタンドが立ち並んでいます。こんなところに古墳が残されているのだろうかと不安が過ります。改めて地図で確認すると国道444号線と県道293号線が交わる末光の交差点から国道沿いに200mほど西に歩いた住宅街に目指す古墳はありました。どうりで賑やかなわけです。国道沿いに標識があり迷うことはありません。
全長16.2mの石室、佐賀県ではもちろん最大の大きさですが、全国的に見ても大型に属します。九州に多い前室と後室(奥室)からなる複式構造の石室ではなく、典型的な畿内型の石室、つまり玄室の平面が長方形で天井に向かってのもち送り(内傾)はなく箱型です。
全長16.2mに対して羨道長が11.2mと長大なことに驚かされます。なかなか玄室にたどり着きません。もっとも羨道の手前半分は天井石が抜かれており、また、奥壁の左角の石(奥壁から見て)が欠落しているので16m先の奥壁はよく見えます。見どころは何と言ってもふんだんに使われた平滑された巨石です。羨道は巨石の上に小型の石を積み、玄室は高さ3mの天井まで届く一枚板石が使われ、さらに天井もよく見ると長大な板石が使われていました。説明板によると安山岩だそうです。床も丁寧な造りで小型の丸石を敷いています。
ただ古墳にはまったく責任はないのですがこれだけの県指定の文化財なのですから、もう少し丁寧な管理が求められるではないかと思いました。一回り大きな石室も含まれていますが岡山県倉敷市の三大巨石墳と呼ばれるこうもり塚古墳、箭田大塚古墳、牟佐大塚古墳(クリックすれば飛べます)、いずれも整美な石室が見るものを愉しませてくれました。理由は行き届いた管理です。意味不明なポール立てかけられていたりブロックが転がっていることもありません。石室内が雑草で荒らされているということもないのです。その意味では残念の一言でした(撮影2019年12月18日)。
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