石棚が側壁にある珍しい横穴石室

 古墳踏査をしているとハプニングはつきもの。今回もそうでした。二重の意味でです。福岡空港から天神のバスターミナルに移動して高速バスで後藤寺営業所まで行き、夏吉古墳群のある秋里を通る路線バスに乗る予定でしたが、高速バスが遅延しバスに乗り換えられなくなってしまったのです。次のバスまでは1時間以上待たねばならず古墳までたどり着けないかもしれません。やむなくタクシーを呼ぶことに。がっかりです。ところが二つ目のハプニングはラッキーでした。運転手さんが夏吉古墳群に詳しく近くまで連れていってくれるというのです。古墳は地元の方でも知らないことが多く、このようなケースは珍しいのです。ただ、猪が出るので注意してといわれましたが・・・。地図にある灌漑用のため池に沿って歩くと動画1冒頭の非常にわかりやすい標識が立っていました。これも珍しいことです。如何に田川市がこの古墳を大切にしていることがわかります。聞けば年に2回、文化財担当の方が古墳に常駐して今回の夏吉1号墳と21号墳の概要を説明する会を催しているのだそうです。

 肝心の1号墳。径14.2m 高さ3.5mの墳丘の残りはよく円墳ということはだれがみてもわかります。築造当時の光景とは違うかもしれませんが杉木立の中に佇む古墳はなかなかのものです。南を向いて開口している横穴石室は九州ではよくある複室構造です。羨道、それに前室と後室(玄室)からなる全長8.2mです。奥壁は1枚の板石です。全長11.5m福岡市の夫婦塚2号墳(クリックすれば飛べます)を一回り小さくした感じです。それだけに

撮影の環境としては厳しく(後退しにくいので)後室の全体像がよくわからないかもしれません。しかしこの古墳の最大の特徴は奥壁から見た右側壁にある石棚です。これまでアップしてきた石棚のある石室は全て奥壁に設けられていましたが、どのような理由からか側壁に作られています。後室が狭く奥壁にスペースが確保できなかったからなのでしょうか。典型的な石棚は和歌山県岩橋千塚古墳群に多数ありますが、大谷山22号墳(クリックすれば飛べます)を紹介しておきます。比較してご覧ください。夏吉1号墳の出土遺物は盗掘を受けていたために須恵器と鉄製品少々に留まっているそうです(撮影2019325日)。

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