吉野川沿い独特の段の塚穴型石室がここにも!
動画はリニューアル統合版でご覧ください。こちらです(クリック)。今回の拝中古墳、JR徳島線穴吹駅から吉野川を渡り県道12号線を1㎞ほど北にあがったところにあり、道路から手に取るように見えます。吉野川沿いに造られた後期古墳の多くは段の塚穴と呼ばれる石室に特徴があります。太鼓塚古墳、野村八幡神社古墳(クリックすれば飛べます)が代表的で、奥壁の中断から「なんで」と思わず言いたくなるように、大型の板石が天井に向かって掛けられているのが特徴です。天井の最後部は小さく、そこに向かって側壁も内傾していますから、全体としてドーム状(穹窿式)になっています。側壁が左右に膨らむ胴張り形にもなっています。同じ工人集団の手によることは間違いがなさそうです。だいぶ全国の古墳を歩いていますが、この吉野川沿い以外では見たことがない不思議な石室です。調べてみるとこの地域独特のものなんだそうです。出雲地方にみられる特徴的な石棺式石室などもそうですが、石室についての各地域の自由度はかなりあったようです。拝中古墳に戻りますが、開口部の左右の石積みは後世のものだと思われ、よく似ているのは太鼓塚古墳です。その太鼓塚古墳の開口部は後世に手が加えられたことがはっきりしているので、拝中古墳も同様でしょう。現状羨道は3mですが天井部が残っておらず、いきなり玄室に入室といった印象です。玄室は太鼓塚の3分の2ほどなので、羨道はおそらく6m以上はあったのではないでしょうか(撮影2019年4月初旬)。
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