京都盆地を見下ろす高台に完存する素朴な石室
京都といえばついつい平安京以降を思い浮かべることが多いのではないでしょうか。そういう私も古墳踏査を始める前はその一人でした。ところがどうしてどうして。前期から後期に至るまで大型前方後円墳(後方)を含め京都市、隣接する向日市、長岡京市には数多くの古墳が築かれています。前期の五塚原古墳、元稲荷塚古墳、中期の恵解山古墳(クリックすれば飛べます)が代表例ですが、見学可能な横穴石室もいくつか残されています。物集女車塚古墳は石棺も残されている見応えのある石室です。こうした遺跡にみられるように古墳時代に既に重要な地域であったからこそ、その後、律令制期以降において政治的中心になったのではないでしょうか。
今回のカラネガ岳1号墳は長岡京市の光明寺の北側の山中に残されています。1976年から京都大学により調査が行われており、ネットで入手した報告書によれば京都盆地をのぞむ山々の麓には数多くの群集墳が築かれています。カラネガ1号墳もカラネガ古墳群の4基のなかの1基です。もみじの紅葉で知られる光明寺の裏手の山中にあります。墳丘は半壊状態ではあるものの石室の保存状態は良好です。自然石を用いた素朴な味わいの石室といってよいのでしょうか、平滑とは無縁の粗野な感じがする石室です。羨道は5.4mと石室長8.3mに比べ長く幅も狭いのが特徴です。報告書によれば築造時期は後期後半とありますから6C末頃でしょうか。出土したのは土師器、須恵器、鉄器だそうです。京都市内の天塚や甲塚のようなスケール感のある石室ではありませんが見逃せない一墳です(撮影2018年12月18日)。
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