壁のようにそびえる墳丘に驚き
聞きなれない名前の市だと思ったら、平成の大合併で、小川町、美野里町、玉里村が合併して2006年にできた市でした。マップでおわかりのように霞ケ浦の北西の端に位置しています。そして 今回の権現山古墳についてはどの古墳群に属しているのかよくわからないところがあります。高崎古墳群の一基と書いているものもあれば(玉里村 権現山古墳 発掘調査概報、1998)、権現平古墳群の一基(古墳マップ)としているものもあり、さらには広瀬和雄さんのように玉里古墳群と呼んでいる研究者もいます。ここでは前方後円墳18基を含む古墳群が旧玉里村に集中していることから、玉里古墳群と呼ぶことにします。
今回の権現山古墳、霞が浦を望む丘に造られた小美玉市の生涯学習センターコスモスからすぐのところにあります。このセンター内には小美玉市玉里史料館があり、敷地内には出土した箱型石棺などが展示されています。そして、センターの東側にある小美玉市民家園内に隣接して墳長89.5mの前方後円墳、権現山古墳が眠っています。「壁のようにそびえる墳丘に驚き」と書いた理由でもあるのですが、民家園内からは全く墳丘を確認することができません。案内板にしたがって 短い距離を歩くと、左手に動画1冒頭のような墳丘が忽然と現れるのです。周濠部分はきれいに草が刈られ、墳丘が高い(後円部9.7m、前方部8.7m)ことも、強烈な圧を感じた理由かもしれません。前方部幅が59.4mと後円部径44.7mと前方部の発達ぶりが、現在でもよくわかります。後円部には石棺、前方部には木棺による埋葬施設があったと推定されていますが、墳頂部が大きく削られているために確認には至っていないようです。ただ、墳丘西側くびれ辺りに造出しがあり、太刀、鉄鏃、土師器、須恵器、馬や人物などの形象埴輪が確認されています。また、北西方向3㎞ほどのところにある(マップ参照)、舟塚山古墳との相似性が指摘されており、発掘調査詳報では、墳長180mの舟塚山古墳の二分の一にあたるとしています。築造時期は舟塚山古墳のほうが先行するとみられています(撮影2020年12月18日)。
権現山古墳基本情報
所在地 茨城県小美玉市
形状 前方後円墳
規模 墳長89.5m 後円部径約45m 高さ9.7m、前方部幅59.4m 高さ8.7m
盾形の周濠
築造時期 5C末から6C初
出土品 太刀、鉄鏃、円筒埴輪(馬、人、短甲)、土師器、須恵器 史跡指定 小美玉市
特記事項 市内の舟塚古墳を1.2倍すると権現山古墳になるところから両者の緊密性が指摘されている
聞きなれない名前の市だと思ったら、平成の大合併で、小川町、美野里町、玉里村が合併して2006年にできた市でした。マップでおわかりのように霞ケ浦の北西の端に位置しています。そして 今回の権現山古墳についてはどの古墳群に属しているのかよくわからないところがあります。高崎古墳群の一基と書いているものもあれば(玉里村 権現山古墳 発掘調査概報、1998)、権現平古墳群の一基(古墳マップ)としているものもあり、さらには広瀬和雄さんのように玉里古墳群と呼んでいる研究者もいます。ここでは前方後円墳18基を含む古墳群が旧玉里村に集中していることから、玉里古墳群と呼ぶことにします。
今回の権現山古墳、霞が浦を望む丘に造られた小美玉市の生涯学習センターコスモスからすぐのところにあります。このセンター内には小美玉市玉里史料館があり、敷地内には出土した箱型石棺などが展示されています。そして、センターの東側にある小美玉市民家園内に隣接して墳長89.5mの前方後円墳、権現山古墳が眠っています。「壁のようにそびえる墳丘に驚き」と書いた理由でもあるのですが、民家園内からは全く墳丘を確認することができません。案内板にしたがって 短い距離を歩くと、左手に動画1冒頭のような墳丘が忽然と現れるのです。周濠部分はきれいに草が刈られ、墳丘が高い(後円部9.7m、前方部8.7m)ことも、強烈な圧を感じた理由かもしれません。前方部幅が59.4mと後円部径44.7mと前方部の発達ぶりが、現在でもよくわかります。後円部には石棺、前方部には木棺による埋葬施設があったと推定されていますが、墳頂部が大きく削られているために確認には至っていないようです。ただ、墳丘西側くびれ辺りに造出しがあり、太刀、鉄鏃、土師器、須恵器、馬や人物などの形象埴輪が確認されています。また、北西方向3㎞ほどのところにある(マップ参照)、舟塚山古墳との相似性が指摘されており、発掘調査詳報では、墳長180mの舟塚山古墳の二分の一にあたるとしています。築造時期は舟塚山古墳のほうが先行するとみられています(撮影2020年12月18日)。
権現山古墳基本情報
所在地 茨城県小美玉市
形状 前方後円墳
規模 墳長89.5m 後円部径約45m 高さ9.7m、前方部幅59.4m 高さ8.7m
盾形の周濠
築造時期 5C末から6C初
出土品 太刀、鉄鏃、円筒埴輪(馬、人、短甲)、土師器、須恵器 史跡指定 小美玉市
特記事項 市内の舟塚古墳を1.2倍すると権現山古墳になるところから両者の緊密性が指摘されている