これは必見!東北の巨大前方後円墳
晴天に映える雷神山古墳はどのように私を迎えてくれるのだろう。ワクワクしながら歩いた期待は裏切られませんでした。動画1の前方部端側から後円部にかけて広がる墳丘は、芝がきれいに刈り取られていたこともあり鮮やかの一言でした。墳長が169m、後円部径92mとほぼ同じなのは甲斐銚子塚古墳(クリックすれば飛べます)です。こちらの墳丘も美しく是非比較してご覧ください。ただ前方部幅は雷神山が96mに対して、69mとずっと狭くなります。甲斐銚子塚が造られたのは3C後半と典型的な前期古墳に該当します。雷神山古墳は前期と中期の境目に位置するだけあって前方部幅は96mと発達しています。後円部は3段、前方部は2段の筑成が施されている墳丘には一面葺石が葺かれ、壺形埴輪がめぐっていたようですが、整備にあたっては復元されていません。
また、動画キャプションでも触れているように前方部端には墓地があり墳丘自身が崩れています。植栽でカバーしているとはいえ些か残念です。京都府の長岡京市の恵解山古墳(クリックすれば飛べます)の墳丘も墓地があったことを思い出しました。昔の墓のために現在の墓を移すわけにはいかないのはわかりますが、現在まで墳丘がどのように人々によって扱われてきたかを知るには貴重な資料かもしれません。
埋葬施設は発掘調査されていないために不明ですが東日本大震災の際に後円部頂の中央が1mほど陥没し埋葬施設ではないかとの指摘もあるようです。その後円部に隣接して陪塚ではないかといわれる径54mの円墳小塚古墳が築かれています。またその先、1.5㎞には雷神山古墳の被葬者に遡るこの地の支配者が葬られているともいわれる飯野坂古墳群(1)飯野坂古墳群(2)飯野坂古墳群(3)(それぞれクリックすれば飛べます)があります。こちらは中規模の前方後方墳が複数並んで築造されています。
アクセスはJR東北本線で2駅下った館腰駅前から西に200mほど歩き郵便局を見ながら右折すると左に館腰神社が見えます。その先を左折し道なりに歩くと右手に急な細い坂道が見えます。坂道を上り道なりに進むと前方部端入口説明板に到着します(撮影2015年11月5日)。
雷神山古墳基本データ
所在地 宮城県名取市
形状 前方後円墳
規模 墳長 169m(168m)、後円部径 96m 高さ12m、前方部幅96m 高さ6m
後円部3段、前方部2段築成、葺石あり
小塚古墳 径54m 高さ6mの円墳
築造時期 4C末(4C後とも)
出土品 壺形埴輪(底部穿孔(せんこう)土器とよばれ底に穴があいている古墳用に作られたもの
史跡指定 国指定
特記事項 被葬者は飯野坂古墳群との関連が指摘されている。飯野坂は前方後方墳であるのに対して雷神山は前方後円墳。