狭い開口部から見る驚きの複室構造の石室
 いやはやびっくりです。こんな小さな開口部。といっても羨道があったはずですが、とうの昔に消滅し、その部分は今では土砂が堆積しています。開口部に下りる、穴に入るといった感じになったのはそうした理由です。おそらく羨道が残り、石室を見通すことができたならば、これほどの驚きはなかったのではと思いました。というのも九州に複室構造の石室は多く、福岡市の夫婦塚2号墳(クリック)、田川市の夏吉1号墳(クリック)などいくつも紹介してきたからです。ただ大半は羨道が残っているか、残っていない場合でも正面に開口部を見ることができ、奥壁まで見通すことができる古墳も少なくありませんでした。ところが、今回の里1号墳の場合は地上からは石室内部は見通せず、前室の玄門前に上から降りてはじめて、その全容がわかるという視覚上の効果もあって、強い印象を受けました。大型と中型の石材を巧みに組合せた石室は完成度が高いと、他の石室と比較しながら思いました。
 前室、それに石棚のある後室ともに天井に向かって内傾する持ち送りが急で穹窿式(ドーム型)にも見えないこともありません。ただ、そうだとすればこの点に関しては、もう少し緻密な組み方のほうがよかった気がします。  宮若市を流れる山口川沿いに古墳はあります。残念ながら知人に連れていってもらったために、詳細はわかりません。個人の方の所有のようでお声がけをしたものの留守。やむなく、そのまま、裏山にお邪魔することになりました。それにしても前方後円墳なのか円墳なのかよくわかりません。動画冒頭のシーンのように、見方によれば、典型的な前方後円墳のようにも思えるのですが・・・(撮影2020年2月19日)。

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