野趣あふれる大型石室が完存


 兵庫県福崎町といってもピンと来る人は少ないのではないでしょうか。ましてやそこにかなりの規模の横穴石室が残されているとは・・・。そこでブログの下のほうにマップを用意しました。これで福崎町がどの辺りにあるかわかるはずです(私もこれでそうかと思いました)。このブログでも紹介してきた姫路市、多可町、加西市に囲まれています。旧国播磨の主要地域です。そのことは現在では播但線が南北に通り(国道312号沿い)、東西に中国道が横切る交通の要所ということからもわかります。このことは妙徳山古墳が築かれた当時から変わらないはずです。 どうりで約40基の古墳が市川を挟んだ福崎町の東西に確認されているわけです(福崎町古墳マップ)。ただし、前期古墳はなく、中期古墳が少々、大半が5C末以降の、古墳時代後期に築かれています。ということは、この地域の開発がその頃から行われはじめたということなのでしょう。 姫路市、多可町、加西市にも数多くの後期古墳が残されていることとも共通します。  
 肝心の妙徳山古墳は、天台宗神積寺(じんしゃくじ)境内の入口近くに位置している径35m、高さ6mの円墳です。12月というのに鮮やかな紅葉が迎えてくれました。お寺さんの管理のためでしょうか標識もしっかりあり迷うことはありません。ぐるっと西側から南側に歩くと、巨大な天井石が目立つ開口部がすぐに見えました。開口部は広く、入るのに不自由はなさそうです。と思ったのですが、羨道の入口付近の土砂が急坂状に積もり、しかも結構な長さのために中腰状態で坂を下りなければなりません。画面が揺れているのはそのためです。  羨道は6m以上がきちんとのこされており、ヘッドランプのお蔭で玄室の奥壁まで見通せました。 幅が目測で1.8mほどしかないためにやたら細長く感じましたが、一言でいえば無骨な印象です。おそらく使われている石材のせいかもしれませんが、平滑はされておらず自然石の乱積みです。細長いという印象は袖石を経て玄室(右片袖式)に入っても変わらず、数字でも確認できました。幅が2mに対して長さは6mもあるのです。超縦長の玄室です。畿内型と呼ばれる長方形の玄室です。やや持ち送りがみられる天井は高さは3.2mです。さすが奥壁は特別なのでしょう。2枚の大型石は平滑されていました。それにしても全体で12m以上もある石室が残されているというのは驚きです。
 アクセスは福崎駅前からコミュニティーバスまちなか便を利用し鬼追橋下車。神積寺まですぐです(午前中でも4本もあります)。(撮影2020年12月8日)。 福崎町の位置
PNG 妙徳山古墳位置 福崎町 21年9月10日
PNG 妙徳山古墳横穴石室イメージ図 21年9月9日
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