完存する円墳にすっきりした無袖式の石室


 ブログに張り付けてある有年地区の古墳群を見るとお分かりのように、木虎谷古墳群と惣計谷 (そうけだに)古墳群は隣あっています。もちろん、これは後世、研究者がつけたもので、現地に赴いても、違いがわかるというわけではありません。それどころか、どれも小型の円墳ですし、古墳時代後期から終末期に造られている点も同じです。この地域にみられる特色ある石室の様式、祇園塚型石室は塚山6号墳、惣計谷6号墳と古墳群を横断して存在します。実にややこしいです。  木虎谷1号墳と間違えて到達した惣計谷6号墳(クリック)とは違い墳丘はよく残り、ザ・円墳という感じです。
 ぐるっと南側の開口部に廻ると、周庭のような東側に延びる石積みがあり、これはこれはと思いましたが、どうや後世に造られたもののようです。有年地区埋蔵文化財詳細分布調査報告書(赤穂市教育委員会、2017)には次のように書かれています。「墳丘・石室ともに残存状況が良く、周溝や斜面の切土の状況が明瞭に確認できる。墳丘が一部削平され、小型の石材で石垣が作られているが、これは後世のものであろう。」  ご覧のように石室は、キャプションにも書きましたが、側壁と中型の石材3石からなる奥壁とのバランスがとてもよい印象です。玄室幅と羨道幅が同じ無袖式の石室です。バランスがよく感じたのは、無袖式のために開口部から奥壁まですっきり見通せるためかもしれません。  今回の3号墳は比較的見つけやすいかもしれません。現地を訪ねたい方のために書いておきますと、石棚付きの大型石室を有する木虎谷2号墳(クリック) から東に歩くとすぐに北に延びる舗装道があります。右手、東側は田んぼです。そのまま北に数百メートル進むと道を塞ぐように大きなフェンスがあります。ここは施錠されていませんので(ロープをほどいて入る)、そのまま50mほど進むと右手は墓地(現在の)です。左手をみると木々の間に小川が流れているのが見え、そのまま西方向に渡ると以前耕作されたと思われる平坦地に出ます。さらに西に進むと動画冒頭の景色になり、斜面南を見ると3号墳の墳丘が見えます。略図をアップしましたが、あくまで目安ですし、 周辺は雑木と藪です。十分注意して探索してください。  惣計谷古墳群にはまだまだ入室可能な保存状況がよい石室があるようです。いずれの日にかチャレンジをと思っています(撮影2020年12月9日)。 赤穂市有年地区古墳群
惣計谷(そうけだに)3号墳へのルート 21年7月25日作成
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