奈良県で初期横穴石室が見られるとは!


 訪問時の2018年3月には、それほど石室を訪ねていなかったこともあり、この石室の「貴重さ」がわかりませんでした。しかし、今回、見返してみると、側壁が天井に近づくにつれ内傾化する、ドーム状(穹窿式)であることがわかり、朝鮮半島系の初期横穴石室ということが確認できました。5C後半、古墳時代中期に造られたといわれています。ドーム状といえば、北九州の数々の古墳を思い出します。佐賀県の太良町の田古里古墳(クリック)、道越古墳(クリック)、福岡県久留米市の善院古墳群(クリック) などいくつもあります。しかし、いずれも古墳時代後期に造られており、宮山塚古墳より後のものです。となると、どうして、奈良県の平群に半島の影響を受けた石室が造られたのか(同じころ造られた剣上塚古墳も初期横穴式石室だそうです)が知りたくなります。宮山塚古墳では出土品は確認されていませんが、剣上塚古墳からは半島系の馬具や甲が出土しており、その製造技法などから「被葬者とその背後に、大陸との関わりをうかがわせる先進的な性格をもった集団の存在が想定されている」そうです(平群町HP)。この地域への渡来系文化の浸透はたしかなようです。
 肝心の宮山塚古墳、阪神淡路大震災(1993年)で石材が一部落下し、普段は立入禁止のため、撮影環境は最悪でした。なので、ドーム状の石室内全体は撮れておらず、3.2mもある高さも実感できないのが返す返すも残念です。アクセスはわかりやすく、近鉄生駒線竜田川駅から東へ1㎞ほど。椿井城の麓にある春日神社境内にあります(撮影2018年3月7日)。 PNG 宮山塚古墳 所在地 21年6月19日作成
PNG 平群町と生駒山地 矢田丘陵 21年6月19日作成
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