石棺式石室の構造がわかる小型の石室が完存

 
 このブログでは島根県松江市の古墳は数多く扱っています。ほぼ最後の前方後方墳といわれる山代二子塚古墳、銘文が刻まれた太刀が出土した岡田山一号墳、さらにはこれが古墳なのかと異様な姿を晒す岩屋後古墳、開口部が狭小の山代方墳(いずれもクリックすれば飛べます)、を紹介してきました。今回は岩屋後、山代方墳と同様、出雲地方独特の石棺式石室と呼ばれる埋葬施設をもった朝酌(あさくみ)小学校校庭古墳です。 最初にこの石棺式石室を見ておけばよかったと後悔しました。というのも岩屋後古墳は石室を覆っていた封土が完全にくずれ石棺も雨水等で劣化が著しく残骸のような姿ですし、山代方墳は素晴らしい加工度の石室ですが、狭小の石室への入退出に気をとられ(多くの方は入室をためらるはずです)、その特徴を味わう暇がありません。その点、大型の家形石棺(封土があるので上部の特徴は現状では確認できない)、四方の壁、天井、床を基本的に一枚の切石で加工している、玄室入り口は刳り抜き式であるという特徴がよくわかる朝酌小学校校庭古墳は貴重です。羨道が消滅しているのでかえって石棺式石室を理解するには有利です。切石の加工度はご覧いただければわかるように素晴らしいものです。あらためてそのサイズを確認してみると岩屋後古墳は長さ2m、幅3.3mに対して、朝酌小学校校庭古墳は長さ1.24m、幅2.04mですから二回りほど小さいことがわかります。  アクセスは松江駅から市営バス大海崎町行で30分ほど(バスの本数は少ないです)。朝酌公民館前下車。バス停の先の信号を左折すると元小学校の校庭に建てられた公民館がありその敷地内です。事前に早朝の訪問を告げると、開館前でもご自由にどうぞということでした。中海と宍道湖の結節点にあたる朝酌町周辺にはまだ見学していないいくつもの古墳が残されているようでいずれ訪ねてみたいと思っています(撮影2020年10月末)。

PNG 朝酌小学校校庭古墳石室イメージ図
PNG 朝酌小学校校庭古墳位置21年3月13日

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