不思議な気持ちに襲われた土砂流入の石室
 天理市にある墳長113mの前方後円墳、西乗鞍古墳を散策したあと50mほど東にある東乗鞍古墳に立ち寄ってみました。事前の調べで県道51号線沿いにある親里ホッケ うー場の裏側に位置することはわかっていましたが、回り込んでみると周辺は一面田んぼ。結局、ビニールハウスで作業をしている女性に教えてもらいました。動画冒頭の竹藪です。導かれるようにして中に入るとぼんやりと石室のある後円部が目に入りました。竹があちらこちらで倒れています。この年(2019年)の夏から秋にかけ台風、豪雨が列島を襲ったためでしょうか。このことが後円部中段に南を向いて開口する石室入室に幸いしました。長さ14.6mの石室前の柵は簡単に外れ入ろうと思えば自由な状況でした(帰りに気がついたのですが立ち入り禁止の看板がすっ飛ばされていました)。狭い入口に体をよじらせて潜ると長さ4,5mの羨道の半分は土砂で埋もれていましたが、ヘッドライトの光の先には玄室が見えます。そして床には箱式石棺の底板と思われる石材が見え、その向こうには羨道の量よりも遥かに大量の土砂が奥壁側から阿蘇のピンク石製の刳抜式石棺に向かって流れています。心なしか赤く見えます。その石棺に土砂は覆いかぶさるように流れています。
 数多くの石室をみてきましたがこのような光景ははじめてで不思議な感覚に襲われました。おそらく玄室が長さ7.6mに対して幅2.4m、高さ3.3m、天井に向かっての側壁の内傾という極端に細長い空間のためではないかと思われます。これだけでもため息が出そうでしたが、奥壁側に立って羨道方向をみてまぐさ石の巨大さに固唾を飲みました。この土砂がなかったならばと思うばかりでした。
 比較の意味で同じく石棺が残り、東乗鞍古墳よりやや遅れて造られた赤坂天王山古墳(クリックすれば飛べます)のデータを紹介しておきます。全長17m、羨道長さ 8.5m、幅1.8m、高さ約2m、玄室長 6.34m 幅約3m 高さ4.2mと墳丘は赤坂天王山のほうが2.5mほど長いですが玄室は東乗鞍のほうが2mほど長く、幅も0.6mほど短くなっています。いやはや超スリムな玄室です。最後の大王墓といわれ墳長318m、石室も長さ28.4mと最大の大きさを誇る五条野丸山古墳はまだ造られていません(撮影2019年11月21日)。PNG 東乗鞍古墳石室イメージ図
PNG 東乗鞍古墳(石室)
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