美しい石棺と石室との対比
 
 これはびっくり。開錠された凡そ8m石室の羨道を下った先にはライトアップされた美しい姿の凝灰岩の家形石棺がみえました。盗掘坑が痛々しいとはいえ、一見レプリカにみえるほどきれいです。長さ4.5m、幅2.5m、高さ3.5mの石室が自然石の乱積みなので、その対比がなかなかの趣きです。床面をみると、ほぼ同じ大きさの丸石が敷き詰められ、それは羨道まで続いています。明らかに設計した工人が視覚効果を狙ったのではないかと思いました。そのことは羨道の造られ方からもわかります。開口部からやや上り、そして下っています。つまり下った先に安置された棺の存在を強調しているのです。数多くの石室をみていますが、はじめての設計です。造られたのは6C末と考えられています。
 説明板によれば、木曽川流域の各務原台地は数多くの古墳が造られたそうで、1号墳やふな塚古墳を盟主墳とする大牧古墳群は80基を数えるそうです(動画の最後に、ふな塚古墳の現在を加えておきました)。1号墳は1982年に陵南小学校の建設に伴い発掘調査が行われ、組み合わせ式の家形石棺からは武器、武具、馬具、耳環、玉類、須恵器などが出土しているそうです。   
 陵南小学校を訪ねる人はだれでも、校庭の脇の墳丘が目にはいると思いますが、西洋風の植栽が施された墳丘に古墳のイメージを重ねる人はどれだけいるか些か気になりました。この日は大牧1号墳の北東5㎞にある二宮神社古墳を訪ねた後、現地で各務原市の文化財担当に開錠していただきました。普段は施錠されていますが事前に申請すれば開けてもらえます(撮影
2019年3月6日)。
PNG大牧1号墳(各務原市)
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