自然石を用いた素朴な横穴石室


 JR上越線の群馬総社駅の北4㎞ほどの丘陵に築かれた群集墳は吉岡町だけでも400基にのぼったそうです。時は移り変わり、今では南下古墳群として残るのは10基ほど。そのうちの5基が古墳公園として整備されています。宅地開発が進み、すんでのところで残ったという印象です。とはいえ動画の最後に加えましたが、赤城山はじめ周囲の山々を借景にした古墳群は奥津城としての立地としては最高だということは現在でもわかります。そして、ここの古墳公園の特徴は横穴石室の変遷を辿ることができることだそうです。今回のC号は6C後半に、横穴石室のある円墳として古墳群中最初に築かれています。なるほど、自然石を用いた素朴な印象を受ける石室ですが、決して粗雑という意味ではありません。側壁、奥壁に用いられた中型から大型の石材は表面を平滑してありますし、全体のバランスも悪くありません。もちろん、時代が下った7Cの切石積み(前橋市総社町の宝塔山古墳蛇穴山古墳、古墳名をクリックすれば飛べます)とは技術的にも比較の対象ではありません。もっとも南下古墳群にも前述したように切石積みの横穴石室があります。
 ところで、C号墳の石室は長さ6.15mと書かれていますが、羨道と玄室の間にある袖石がない無袖式石室のために、両者の境がよくわかりませんでした。専門家でもわからないことがあるそうです。アクセスは非常に不便です。行きは新幹線も使って群馬総社駅に着いたのが9時過ぎ。その後の予定を考えてタクシーを使い、南下古墳群ともう一つ近くの古墳を見た後は、徒歩で群馬総社駅まで戻りました。遠かった!PNG 南下古墳群 位置
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