妙見山との対比が美しい石室完存の円墳


 東山古墳群は7C初頭から後半の間(古墳時代の終焉に近い頃、前方後円墳の築造は終了している)に妙見山のふもと、標高400mほどの丘陵に築かれた16基の群集墳で、現在、1号墳はじめ12基が公園内に保存されています。南西方向には加古川の支流、杉原川が流れています。古墳群は1996年から99年にかけて発掘調査され、その成果に基づき復元されています(もちろん破壊が著しいものもあります)。古墳を遮る構築物は周囲に何も見当たらず、古墳時代当時に思いをはせる景観が残されている点が魅力です。30m、幅広の段築にお椀をかぶせたような墳丘の1号墳。堂々として立派です。さすが東山古墳群の最初の盟主墳だけのことはあります。おわかりのように出土した須恵器製の高坏なども棺とともに再現されています。耳環、太刀、鉄鏃も出土しています。

最後に築かれた東山15号墳(クリックすれば飛べます)を紹介した際に最初に造られた1号墳と石室の長さがほぼ同じ約15mという点が面白いと書きましたが、たしかに1号墳は12.5m15号墳は12.4mです。ただ、1号墳は玄室と羨道の長さが6.25mと同じなのに対して、15号墳は玄室の長さは4.4m、羨道は8mで、羨道の長さが際立ちました。その羨道の床の敷石は単に川を並べただけではなく、何層か重ねてあること、羨道開口部にいくにしたがい傾斜しており排水の機能をはたしていたことなどもわかっています。今回の1号墳の魅力を一つあげるとすれば、左片袖が明瞭という点ではないでしょうか。玄室幅が羨道幅よりも奥壁からみて左に偏った石室が、左片袖とよばれるタイプですが、あまりないタイプです。実際、東山古墳群中袖のあるなしがわかった8基のうち、右片袖式が3基、15号墳を含む両袖式が3基、無袖式が2基で、左片袖式は今回の1号墳のみです(巨大石室墳を掘る、20003月、兵庫県多可郡中町教育委員会)。アクセスは15号墳の頁をご覧ください(撮影20191212日)
PNG higashiyamakofungunn (1号墳)場所
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