住宅街にこれほど完成度の高い石室が残るとは・・・

 事前の調べで以前訪れた中山寺(白鳥塚)古墳(クリックすれば飛べます)の近くには数多くの古墳が残り、しかも良好な開口石室を伴うものもあるとのことでした。中でも中筋山手東古墳群には3基の円墳が残り、いずれも石室が見学できるというではありませんか。とはいえ阪急宝塚線中山寺駅から30分ほどの現地を訪れてみると1号墳と3号墳は宅地造成中の敷地内にあり見学は不可。やむなく住宅が立てこんだ一角に公園化された2号墳だけの見学に終わりました。しかし、これが素晴らしいの一言でした。

動画冒頭の円墳の形状からは想像できないのですが、畿内では珍しい前室、後室からなる複室構造(ここで紹介している九州の古墳石室に多い)なのです。もっとも完存するのは後室のみで前室の天井石、側壁の相当部分は破壊され、羨道も現状を見る限り確認できません。それでも、前室と後室の間に立つ流線形に形作られた袖石(?)の美しさに目を奪われたました。これまで見てきた石室の中にはきれいに表面が平滑された切石による巨石墳もありましたが(明日香村の岩屋山古墳や福山市の大坊古墳、長崎市の兵瀬古墳、いずれもクリックすれば飛べます)、今回のような弧を描いた石積みはみたことがありません。動画でもこのカーブの美しさに焦点を当ててみました。石工技術の高さからすると7C中頃以降の終末期に築かれたものと思ったのですが、現地説明板の説明では須恵器、耳環などから6C後半に築かれたと推定されるとのことです。また興味深いことに耳環が8個出土したことから被葬者は4名と考えられているようです。なお宝塚市文化財担当の話では1号墳、3号墳についても入室が可能になるとのことでしたが、フェンス越しの見学どまりになりそうです。(撮影2019311日)。
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