掘り出し物の横穴石室


 
   奈良県立野外活動センターの本部棟の目の前の小山の山頂に目指す古墳はありました。今では動画1のように雑木が生い茂っていますが築造当時は山頂を平らにして墳丘を築いたとみられています。現在は径19m、高さ4.2m。いつものように石室に出会うまではドキドキしながら山頂に着くとびっくりです。自然石を使った石室が待っていました。右手を見ると閉塞のために使われたと思われる大きな板石がありそれを見ながら羨道を進みます。手前の部分はだいぶ失われているようですが全体で8.1mもあるので玄室は目視できません(といっても開口部左手にあるスィッチを押すと途中から見通すことができます)。
  この石室の特徴はもち送りのない玄室です(側壁が天井に行くにしたがって内傾する)。羨道(幅1.25m、高さ1.5mほど)を進むと角ばった長方形の玄室です。幅1.8m 長さ3m 高さ2.1mですが石材が丁寧に積み上げられています。もち送りがない箱型の玄室は近畿中央部によくみられるものだそうです(和田晴吾、前方後円墳とは何か、吉村武彦他編、前方後円墳、岩波書店、2019)。奥壁に立つと羨道幅よりも玄室幅が右に偏って広い右片袖であることがわかりました。両袖や無袖(羨道幅と玄室幅が同じ)を見慣れたものからするとあれあれという感じです。それにしても袖の形式にどのような意味が込められているのか知りたいですね。
 野外活動センターは近鉄榛原駅からバスで針インター行に乗り吐山(はやま)下車、看板が出ていますが500mほど北西方向に歩くと着きます。午前、午後2本ずつあります。深山幽谷とまではいいませんがかなり緑濃い森林浴にもってこいの場所でした(撮影2019年3月12日)。PNG ikenotani 1goufun zu
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