見応えのある周濠、周堤が残る古墳
今回の後期古墳は名古屋市で最も高い標高の東谷山(とうごくさん)及びその周辺に築かれた志段味古墳群から勝手塚古墳です。既にいくつか紹介した志段味古墳群の中では、志段味大塚古墳よりも後の6C初に築かれたと考えられています。中社、南社古墳が築かれた東谷山を背景に庄内川が流れ、古墳時代の人々が利用したであろう川沿いに古墳が点在しています。今回の勝手塚古墳は墳長53mの前方後円墳でも前方部が短い帆立貝式を採用、径41mの後円部に対して前方部幅は約20mに過ぎません。後円部テラスには円筒埴輪が並び、墳丘には葺石が置かれていました。キャプションでも触れましたが周濠と周堤が西側を中心によく残っています。勝手社の社殿が建っている後円部に立つと短い前方部が確認できます。後円部頂の社がなければさぞかし墳丘全体を観察できるのにと思う一方、神社がなければ破壊はこの程度で済まなかったと思われます。痛しかゆしですね。志段味古墳群は名古屋駅からも近く、しかも前期から終末期までのさまざまな古墳を訪ねることができるのでお勧めです。地図でもおわかりのようにそれぞれの古墳は近接しているので1日あればゆっくり見学できます。その場合、JR高蔵寺駅から庄内川を渡り、今回の勝手塚古墳、東西の大久手古墳(未アップ)、志段味大塚古墳、白鳥塚古墳、中社、南社古墳、尾張戸古墳神社(未アップ)、東谷山白鳥古墳の順でまわるのがよいでしょう(撮影2017年11月7日)。
勝手塚古墳(志段味古墳群)基本データ
所在地 愛知県名古屋市守山区
形状 前方後円墳(帆立貝形)
規模 墳長53m、後円部径41m 高さ7.6m、前方部幅約20m 高さ不明
2段築成、葺石あり、周濠、周堤あり
築造時期 6C初
埋葬施設 不明
史跡指定 志段味
出土品 円筒、人物、朝顔、きぬがさ埴輪
古墳群として国指定
特記事項 なし
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