「何これ」と思わず声が出た驚きの石室


 
 今回の徳島行きは個性的なスタイルで知られる(そう書く私も今回はじめて知った)、段の塚穴型石室のいくつかを見学しようと計画したものです。段の塚穴型古墳というのは玄室が中央がやや膨らむ胴張りで、穹窿(きゅうりゅう)式つまりドーム型の石室の一種です。既にアップした佐賀県の田古里古墳道越古墳(いずれも古墳名をクリックすると飛べます)が典型例です。しかし、段の塚穴はドームの作り方が変わっています。中ぐらいの石材を内側に迫り出すように積んでいく一般的な方法ではなく、奥壁(手前の壁も)の中段ぐらいから大きな1枚の板石を斜めに天井に向かって懸けるという実にユニークな組み立て方です。羨道から玄室に入ると石棚の上に覆いかぶさるような板石が目に飛び込んできます。正直、びっくりしました。その最大規模のものが段の塚穴(太鼓塚古墳と棚塚古墳の2基からなる)で、野村八幡神社はじめ類する石室を有する古墳を段の塚穴型古墳と呼ぶようです。専門家の調査では美馬地域に28基確認され、そのうち8基には九州や和歌山のいくつかの石室に見られた石棚を伴っているそうです(季刊、考古学45号、2018年復刻版、横穴式石室の世界)。

古墳のある美馬市の文化財担当の方にお聞きするとほとんどの古墳は吉野川の北側に並んでいるので見学はしやすいのではないかとのこと。地図をみるとたしかに最も東の東拝原古墳から段の塚穴まで12-3㎞ほどの間に点在しています。歩けない距離ではありません。それでも「歩くんですか」と「ちょっとそれは無理ではないか」とのニュアンスが伝わってきます。でも昔の人は歩いたのですよね。こういう時は意地でもあるこうという気が起こるものです(苦笑)。結局、東拝原古墳と今回の野村八幡神社古墳、段の塚穴(太鼓塚古墳と棚塚古墳)の4基を日の暮れるまでに訪ね終えました。

今回の野村八幡神社古墳は最初に訪ねた東拝原古墳よりもずっと規模が大きかったこともあり、私の受けたショックも半端ではありませんでした。「えっ、何これ」という感じです。分厚い板石の石棚もあります。動画からどこまでそのニュアンスが伝わるかはわかりませんがじっくりご覧ください。もう一つ特徴的なのは全てを結晶片岩(緑色片岩、緑泥片岩)で造っているのではなく側壁は砂岩を用いている点です。石材の調達が間に合わなかったのかはわかりませんが、独特の雰囲気を醸し出しています。加えて開口部前を遮るようにしておかれている大きな石も不思議です。羨道の手前部分の天井石といわれているようですが、敢えてどかさずにそのままにしているところがいいのでしょうね(撮影201942日)。
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