田古里古墳より天井が高いドーム状石室を堪能


  驚くほど本数の少ない   JR長崎本線で肥後大浦まで行き既にアップした田古里古墳(クリックすれば飛べます)を見て、しばし茫然としたあと(その理由は田古里古墳の説明をご覧ください)、県道295号線をひたすら南下、若干のアップダウンがありますが動画1冒頭のような景色が広がります。季節外れのためもあってか観光客は見かけず、そもそも人には出会いませんでした。古墳時代はどうだったんでしょうか。途中で焼き牡蠣の旗が立っていたので帰りに寄らなくてはと思いながら道越古墳を目指します(結局、今はやっていないと断られました)。田古里古墳から20分ほどでしょうか県道沿いに新聞販売店がありそこを左に下ると家並が見えました。その間から動画1のような墳丘がのぞきます(太良町の教育委員会は丁寧に道順を教えてくれました)。

 お孫さんと遊んでいたおばあちゃんに見学したいのですがというと、どうぞどうぞとの明るい声。こういうのって嬉しいですね。あの田古里と同じような天井の高いドーム型(専門的には穹窿(きゅうりゅう)式と呼ぶそうです)の石室がみられるのでしょうか。期待は高まります。開口部までの階段を登り切って墳丘に近づきます。あとは動画のキャプションをご覧ください。田古里古墳とは違い単室構造ということもあり玄室は明らかに道越のほうが大きく、天井もわずか10㎝ですが高いです。天井の最も高いところの石の隙間から光が差し込んでいるために全体に明るく、ドーム状の石室の様子がよくわかります。それにしても無数の割石が崩れず1400年以上もの間存在してきたのですから驚きの一言です。

 考古学者和田清吾さんの説明によれば九州的横穴石室の「特徴は、玄室の平面がほぼ正方形で天井がドーム状をなすことで、閉塞は要所に門構造を設け板石を立てて行った」(吉村武彦他編、前方後円墳、2019、岩波書店)のだそうです。改めて道越古墳の動画を見返してみると九州的横穴石室の特徴を備えているように思いました。ならば畿内的(近畿中央部)横穴石室の特徴はといえば「玄室の平面が長方形で天井が平らな箱型をなすことで、外部からの閉塞は羨道部に塊石と土を積み上げて行った」のだそうです。これまで紹介してきた九州以外の石室を思い出してみると、相当数の石室が側壁が内側に傾斜する持ち送りをみせており、箱型の玄室はそれほどなかったように思われます。そう思って読み返してみると第三のカテゴリーとして「九州的、畿内的両者の要素に濃淡の地方色がまじった石室」があげられていました(撮影2018325日)
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