全体がくっきりと見える整った箱型の石室


  事前に二基の古墳をお持ちの個人のお宅に連絡をしてあったからでしょうか。ご夫婦で迎えてくださったことにびっくりしました。お話によればこれは特別なことではなく、訪ねてこられた方々には同じようにされているとのこと。なかなかできないことではないでしょうか。動画をご覧頂ければわかるように長さ13.4mの水泥北古墳の横穴石室の内部は手入れが行き届き、明るすぎない照明もあって見学者にとっては最高のコンディションです。いずれ紹介する水泥南古墳(石棺に蓮華模様が刻まれていることで知られる)とともに、このご夫婦が如何に先祖から受け継いだ古墳を大切にし、しかも多くの人々にその重要性を伝えようとしているかがわかります。お宅の一室を開放して珍しい排水用の土管など水泥古墳からの出土品も展示しています。

お宅の裏(北)にある肝心の石室ですが7.8mの羨道(幅2m、高さ1.9m)の先に長さ5.6m玄室が広がります。照明があるために13.4m全体がくっきり見えるというのは貴重です。そのためでしょうか。数字よりももう少し大きく感じられました。横穴石室は専門家の間では畿内型と九州型に区分されていますが、この北古墳の石室は筆者が見るに「玄室の平面が長方形で天井が平ら箱型をなすことで、外部からの閉塞は羨道部に塊石と積み上げて行った」(和田晴吾、前方後円墳とは何か、吉村武彦ほか編、吉川弘文館、2019)、すなわち畿内型の典型例のように思われます。多少の持ち送りはありますがカチッとした箱型なのです。九州型は天井がドームのようになっていて典型例は佐賀県の田古里古墳(クリックすれば飛べます)です。

残念ながら南古墳のような石棺は残っていません。アクセスはJR和歌山線吉野口駅で下車。線路沿いに走る県道215号線を南に1㎞ほど下ると道沿いのお宅にあります(道沿いに標識あり)。水泥南古墳は所有者宅を過ぎたところの道沿いにあります。今回の北古墳は戻った個人宅の中にあります。見学は御所市教育委員会文化財課に問い合わせるとよいでしょう(撮影20169月5日)。PNG midorokita kofun zu
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