墳丘からの眺めが素晴らしい前方後円墳

二年前の44日、東京新宿から高速バスを使っての飯田古墳群への日帰りの旅は特に記憶に残っています。車中からみたアルプスの山並みの眩しさもさることながら、最北の高岡1号墳にはじまり南の馬背塚古墳まで、入室可能な石室が数多く残る古墳群をJR飯田線とバスと徒歩で予定どおりまわることができたことへの達成感でしょうか。このように下調べどおりに晴天に恵まれながら歩けたというのはそう多くはありません(古墳群とJR飯田線、天竜川の位置関係については図をご覧ください)。

 既にブログでは飯田古墳群の大半を紹介していますが今回の塚原(つかばら)二子塚古墳は、高岡1号墳馬背塚古墳(古墳名をクリックすれば飛べます)とともに墳形は前方後円墳ですが造られたのは5C末の塚原二子塚、6C前半の高岡1号墳、6C末から7Cにかけての馬背塚の順になります。他方規模は塚原と高岡がほぼ同じ73mほどに対して馬背塚は46mにとどまります。埋葬施設はまだこの地域には横穴石室が導入されていなかったからでしょうか今回の塚原二子塚は竪穴石室、残りの二つは横穴石室で馬背塚には長大な横穴石室が完存していることは紹介したとおりです。

 その馬背塚古墳から国道151線に戻り北東方向に500mほど歩くと右手に動画1の景色が広がります。古墳近くの信号まで左右は雑木林などで視界が遮られているため、一気に広がる雄大な景色を借景にした二子塚古墳にしばしみとれました。大型とまではいえない規模の前方後円墳ですが、実際よりもはるかに大きくみえます。しかも二段築成のテラス段築がよくみえるではありませんか。ところが後日、飯田市教育委員会に確認したところ後世、耕作地として開墾された名残りと思われ段築かどうかは不明とのこと。他方、後円部には竪穴石室の残骸と思われる石材があり、過去に開けられたとの伝承とも一致するとのことでした。

これまで数多くの前方後円墳を紹介してきましたが、塚原二子塚古墳ほど墳丘からの眺めが素晴らしい古墳はありません。遮るものが何もないため四囲を完全に見渡せるのです。この古墳の被葬者が古墳築造当時みた景色がこれに違いありません。機会があれば是非訪れてほしい古墳です(撮影201744日)。
既にアップした飯田古墳群の古墳は以下があります。古墳名をクリックすれば飛べます。
姫塚と上溝天神塚古墳 飯沼天神塚古墳


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塚原二子塚基本データ

所在地 長野県飯田市

形状 前方後円墳 葺石ありふ

規模 墳長73m、後円部径41.5m 高さ6m、前方部幅44.5m 高さ6.5m

築造時期 5C

出土品 円筒埴輪片

史跡指定 飯田古墳群として国指定

特記事項 後世 墳丘は二段築成のようにみえるが耕作地として利用されたため段築があったかどうか判然としない。





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