石室がほぼ完存する志段味古墳群の円墳

 名古屋市の東部、春日井市や瀬戸市に隣接する地域にある東谷山の麓に志段味古墳群は造られてきました。4C前半から7C末までと言いますから古墳時代を通じてこの地域は有力者が支配してきたといえそうです。白鳥塚古墳中社古墳、南社古墳、それに志段味大塚古墳(いずれも古墳名をクリックすれば直接飛べます)に続いて今回は後期の終わり頃の7C初頭に築かれた東谷山白鳥古墳(白鳥1号墳)を紹介します。実は動画を一部つなぎ合わせていますがこの古墳、二回訪問しています。名古屋から最寄りのJR中央線高蔵寺駅までもそれほど遠くなく、駅からの道も南下して庄内川を渡ったところの信号を左折すればすぐというわかりやすさもあります。なにしろ国道155号線沿いなのですから。被葬者はひっきりなしに車が行きかう現在の風景をどんな思いでみているでしょうか。

 肝心な古墳ですが前方後円墳の築造がほぼ終わり、時を同じくして比較的小さな円墳が各地で造られるようになりました。志段味古墳群も例外ではなく円墳を中心とする群集墳が営まれており、説明板によれば横穴石室がほぼ完存する唯一の円墳がこの東谷山白鳥古墳なのだそうです。名古屋市が志段味大塚古墳を中心に復元整備し、この白鳥古墳もその一環として現代に蘇った感じがします。墳丘を後ろから眺めていれば気が付きませんが、石室が開口する側に向かうと鉄の扉が行く手を阻みます。扉にはご覧のように小窓がついており、開口部横のスイッチをいれるとライトがつき古墳の説明がはじまります。うーんと唸ってしまいました。もう少し石室に相応しい扉がないものだろうかと。以前は入れたのにと思いながら、気をとりなおしつつ覗いてみるとかなり奥行があることがわかります。加工なしの自然石によるきれいな石室です。羨道幅と玄室幅が同じの無袖形のために境界は玄室上のまぐさ石になります(撮影2017314日と117日)。
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東谷山白鳥基本データ

所在地 愛知県名古屋市東谷

形状 円墳

規模 径17m 高さ3.9m 横穴石室 全長9.8m7.8mとする資料も)

最大幅1.6m、高さ2.4m

築造時期 7C

出土品 馬具、直刀、鉄鏃、須恵器、土師器等

史跡指定 志段味古墳群として国指定

特記事項 志段味古墳群では唯一ほぼ完全に残る横穴石室


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