バラエティ―に飛んだ古墳が楽しめる古墳群

 
  少々変わった名称の古墳群ですね。真言宗の長福寺の裏山にあるということでつけられたそうですが、古墳のほうが先に造られたのになぜと思いました。それはともかく、JR山陽本線岡山県笠岡駅から井笠バス笠岡矢掛線に30分ほど乗り山口で下車。ひたすら県道48号線を北に向かって歩きます。どこまで行っても周りは田んぼ。追い越していく車に少々びびりながら30分ほど経ったでしょうか。農作業中の親父さんに長福寺の場所を聞くとたぶんあれではと思っていた方角を指さしてくれました。そこからさらに10分ほど歩くと少々くたびれた長福寺裏山古墳群と書かれた看板がみえました。

  標高90mほどの丘陵600mの区間に前方後円墳、造出付き円墳、方墳、円墳とバラエティーに富んだ中期築造の古墳が並んでいるのだそうです。9月末ということもあって草茫々ではないかと思いましたが意外といっては失礼ですがきれいに整備されていました。尾根続きには笠岡古代の丘スポーツ公園があり、古墳公園にも足を運ぶ人々が多いのかもしれません。今回紹介するのは二基の前方後円墳です。一つは5C央築造の二つ塚古墳です。墳長60mですが周濠から見上げる墳丘はもっと大きく見えます。しかも自然保存なのに嬉しいことに段築がわかります。そして中期の前方後円墳だからでしょうか前方部のほうが後円部より若干高いことが残存する墳丘からもわかります。印象的だったのは後円部の大きな盗掘坑です。三重県名張市の美旗古墳群馬塚古墳(クリックすれば飛べます)ほどではありませんが痛々しいですね。持ち出された副葬品はどこに消えたのでしょう。

  もう一基は一回り小ぶり墳長50mの東塚古墳です。この古墳公園の整備に合わせて欠損していた南側の墳丘を復元したそうです。双つ塚古墳とは違い、こちらのほうはやや小ぶりに見えたのは気のせいでしょうか。双つ塚からは銅鏡1枚しか発掘されていないのに対して東塚古墳の竪穴石室から銅鏡はじめ玉類、武器、工具、農具、馬具等方墳が豊富な遺物が出土しています。なお動画1の後半のキャプションで右手後円部とありますが左手が正しく、また動画2の後半、後円部径60m40mの誤りです。失礼しました。なお動画の後に笠岡駅と古墳の位置がわかるgoogle mapを添付しました。(撮影2017926日)。
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長福寺裏山古墳群(1)基本データ

所在地 岡山県笠岡市

形状 双つ塚古墳 前方後円墳 東塚古墳 前方後円墳

規模 双つ塚古墳 墳長60m、 後円部径40m 高さ5.5m、前方部幅38m 高さ6m

東塚古墳 墳長50m、後円部径25m 高さ3.5m、前方部幅28m 高さ2.5m

築造時期 双つ塚古墳 5C央、東塚古墳5C

出土品 双つ塚古墳 銅鏡、東塚古墳 小型の五獣鏡、玉、鉄鏃、鉄刀、工具、農具、馬具

史跡指定 市指定

特記事項 双つ塚古墳は備中西部で最大の前方後円墳



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