巨大切石の石室がこのような斜面に残されているとは!

 横穴石室ファンにとってはよく知られた辿りつくのが大変な古墳と聞いてはいたものの実際、そのとおりでした。いずれかの機会にと延び延びにしてきた古墳行き。縁あって案内して頂きましたが、動画1の冒頭にあるような斜面いっぱいに生い茂った熊笹が行き手を遮ります。あっち行き、こっち行き。いやはやどうなるかと思いましたが、斜面頂上近くにどでかいという表現がぴったりな横穴石室が開口しているのを見た時の感激は忘れられません。麓にある説明板には径45m 高さ8mの円墳とありましたが素人目には墳丘の形はわかりませんでした。ひょっとして石室に目が行き過ぎて視野に入らなかったのかもしれません。

その石室の羨道、ななんと長さが12mもあります。玄室を加えると16.6mと巨大です。しかも羨道の側壁の加工された板石が見事です。羨道中央の土砂が視界を若干遮りますが、遠くには玄室奥壁が敷石とともに確認できます。冬だったせいかこうもりの出迎えもなく、奥壁と天井板石の間に残された漆喰もじっくり観察することができました。

 説明板にあった飛鳥駅の裏手の岩屋山古墳石室と同じ工人が造ったのではないかといわれているようで岩屋山古墳(クリックすれば飛べます)を見返してみたところ、たしかに玄室の長さは4.9m、幅2.7m、高さ3m、羨道は12m、幅1.9mとよく似ていますし花崗岩の切石で造られているところも同じです。もっとも加工度の高さでは岩屋山古墳石室のほうが勝っていることは一目瞭然です。それにしても岩屋山古墳の立地とはだいぶ異なる山の斜面に造られた石室。いつも思うことですがこの巨石をどのように運んだのでしょうか。ただただ不思議です。

 北西に少し歩いたところにある2号墳ですが、大きさも径23mとだいぶ小ぶりな円墳です。長さ10mほどの横穴石室ですがほぼ土砂で埋まっていて匍匐前進で入った玄室は立つこともできませんでした。折角来た記念ということで動画に残しました。アクセスは近鉄、JR桜井駅南口から宇陀方面行きで下尾口(さがりおぐち)で下車し県道166号線を東に徒歩15分ほど歩くと森本運輸があり、その手前の道路わきに説明板があります。古墳は北側の裏山にあります。森本運輸さんに声がけをされていくのがよいでしょう。2018年秋現在、古墳までの道は熊笹も刈られ歩きやすくなっているようです。桜井駅北口の桜井市観光案内所に地図があります。なお石室の基本的な事柄は 桜井の横穴石室を訪ねて(桜井市立埋蔵文化財センター、2010)が初心者にもわかりやすく役立ちました(撮影2018130日)。

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