1年前に埴輪の色々(1) (クリックすれば飛べます)で円筒埴輪や朝顔形埴輪などについて紹介しましたが、だいぶ時間が空いてしまいました。今回は動画1では家形埴輪、動画2では水鳥、動画3では人物埴輪を扱っています。家形埴輪は古墳で重要な場所といわれる埋葬施設の上部や祭祀を行った様子を再現した造出しの中心に置かれていたことが和歌山県和歌山市の大日山35号墳(岩橋千塚古墳群)兵庫県加古川市の行者塚古墳、福岡県の嘉麻市(動画では福岡市としてしまいました、いずれ訂正します)沖出古墳の例からわかります。

 家形、水鳥、人物の埴輪は各地の博物館、歴史館に数多く単体として展示されていますが、実際にどのように古墳に置かれていたかがわからないので(図示されていたとしても)、残念に思っていました。全国を歩いてみると少数ですが埴輪祭祀の様子を発掘調査に基づき再現している古墳があることに気が付きました。ある一定の区域に(造出し)多数の埴輪が立ち並ぶ姿は壮観ですし、埴輪単体を見るのとは臨場感がまるで違います。群馬県高崎市の保渡田古墳群の八幡塚古墳、大阪府高槻市の今城塚古墳が特に印象的です。最近完成した前述の和歌山市の大日山35号墳(岩橋千塚古墳群)も祭祀の様子がよくわかります。規模はずっと小さくなりますが名古屋市の志段味大塚古墳、兵庫県加古川市の行者塚古墳も忠実に再現しています。円筒埴輪だけを復元した古墳は数多くあります。

 肝心の埴輪が置かれている意味ですが既に触れている被葬者である首長(ないしはそれに準ずる人物)の霊を祭る場という解釈の他に、来世における被葬者の生前の生活を表したものという解釈があるようです(古墳の知識Ⅱ出土品、東京美術、1988)。色々な解釈が可能なのでしょうが、琴を弾く人物と力士と思われる人物が一緒にいたり、邪悪なものから霊魂を守るという意味でしょうかやたらと大きな(デフォルメ)鹿角製の柄頭(太刀)に囲まれて甲冑をまとった武人がいるなど見ていると不思議な感覚に襲われます。是非、実際の墳丘に登って埴輪が立ち並ぶ造出しを眺めてみてください。

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