畿内にみる珍しい複室構造の石室

今回の後期古墳、大阪北地震の影響が心配される大阪八尾市の高安古墳群から二室塚古墳です。生駒山系の東側 高安山の大阪側山麓に分布する300基の古墳群の一基ですが

文字通り二つの玄室からなるかなり大型の石室です。墳丘自身は径20mと小さく、調査の

結果円墳ないし方墳ともいわれています。現在の墳丘は雑木が席巻していて判然としません。高さも2008年の調査報告書には記載がありません。他方、目玉の石室は全長11.2mもありなかなかに見応えがあります。どうりで日本の考古学界の父ともいわれる明治期のお雇い外国人(英国の冶金技術者ウィリアム・ゴーランド)が写真として残す価値のある石室と判断したわけです。その写真は現地の説明板でみることが可能です。動画2で見る後室から前室方向をみた右片袖式の玄室がよくわかるアングルです。彼が高安古墳群を調査したのは1887年から88年のことです。130年前と同じ石室の様子を前にして言うに言われぬ感慨を覚えました。それにしてもこのゴーランドさん専門の冶金技術者としても卓越した能力を発揮したようですが、古墳の研究も半端ではありません。調査した石室の数は滞日16年で406基にものぼっています。交通網の発達した現在でも古墳踏査は時間がかかります。ただただ驚くばかりです。

話がそれましたが、玄室が複数ある古墳は童男山1号墳八幡山古墳石室(クリックすれば飛べます)などいくつか紹介してきました。大半が九州です(例外的に埼玉県行田市の八幡山古墳石室は三室構造、クリックすれば飛べます)。しかも畿内ではほとんど見られない仕切り石で床を囲み遺体を安置する埋葬形態が特徴でした。これに対して今回の二室塚はよく見られる横穴石室を二つ縦につないだものです。ただ説明板によれば大変珍しい形態だそうで近隣の交互二室塚古墳にしかみられないのだそうです(この交互二室塚は確認ができませんでした)。二室をつなげた奥壁までを開口部からみると幅が狭いこともあり天井が高く巨大な石室に見えます。それにしても木の根と思われる前室のブルーシートは気になります。おそらく伐採すると石室全体が崩れる可能性があるのではないでしょうか。それだけに地震の影響が心配です。アクセスは近鉄信貴線服部川駅から高安古墳群周回のモデルコースの途中にあります。八尾市観光協会のHPに入り高安古墳群コースを参照してください(撮影2017222日)。



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二室塚古墳基本データ

所在地 大阪府八尾市

形状 円墳(方墳)

規模 径ないし一辺約20m

横穴石室 全長11.2m 前室 長さ4.4m 幅2.4m 高さ3.2m、後室3.82m 幅2.3m 高さ3.05m

築造時期 6C

出土品 土師器、須恵器片 耳環、鉄釘

史跡指定 市指定

特記事項 本文にも書いたように九州以外の複室構造の横穴石室は珍しい


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