見応えのある複室構造の石室
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自動車のトヨタで知られる愛知県の豊田市。地図を広げてみるとその巨大さに驚かされます。面積は愛知県の20%を占めますが人口は42万人と少なめです。今回の池田1号墳は径20mほどの円墳で豊田市の西の端にある標高600mほどの猿投(さなげ)山の近くにあります。三河地域と呼ばれるところですが東5㎞ほどのところには矢作(やはぎ)川が流れています。説明板は三河では最大の横穴石室を有する円墳だそうで猿投山の麓から広がる水田地帯を支配した豪族の墓ではないかと記しています。
もっとも豊田市駅から30分ほどバスに揺られて猿投登山口で下車した古墳周辺の景色は工場や住宅が建ち並び古墳時代を想起するものはなにもありません。ところが5分ほど歩くと動画1に見るような静寂の世界が広がっていました。時折墳丘周囲の落ち葉が風にそよぐ音が聞こえるほどでした。南西にまわると石室が開口していました。羨道は天井部分がなくかなり削られていますが複室構造のためにスケールの大きさを味わうには十分です。前室は長さ2.8m 幅2.2m 高さ2.3m、その奥の後室は一回り大きく3.2m、幅2.4m、高さ2.4m。いずれも磨かれた巨石で築かれています。それにしても美しい。個人的には天井が1mほど高ければと思いましたが・・・。羨道が完存していれば墳丘は現状よりももっと大きかったことが想像されます。残念ながら全国古墳編年集成には古墳自体が記載されておらず、日本古墳大辞典には池田一号墳は記載されているものの築造時期についてはなにも記されていません。説明板にある約1400年前を手掛かりに7C初頭としました。撮影日(2017年12月11日)。
池田1号墳基本データ
所在地 愛知県豊田市猿投
形状 円墳
規模 径19m 高さ3.5m、横穴石室 羨道 残存長2.5m 前室長さ2.8m 幅2.2m
高さ2.3m、後室 後室長3.2m 幅2.4m 高さ2.4m
築造時期 6C後
史蹟指定 愛知県
出土品 不明
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