緑泥片岩の美しい石室
 埼玉県の横穴石室では関東の石舞台といわれる八幡山古墳(クリックすれば飛べます)を既に紹介しています。巨大さだけではなく墳丘部分がまったく残っていないという点でも二つの古墳は共通していました。しかし今回の小川町の穴八幡古墳は横穴石室とともに方墳とわかる二段築成の墳丘がよく残っており、しかも周囲を巡る濠も復元されている点で見応えがありました。

 動画1にあるように南に開口した石室の左右には扉石風のかなり大きな石があります。後世のものとはわかりますがいつ頃のものなのでしょう。石室長は8.2m、羨道、前室、奥室から成っていますが、緑泥片岩の巨石で組み立てられた三壁はこれまで見てきた自然石を積み上げた石室とはかなり違う印象です。表面加工があらかた施され滑らかさが光ります。奈良県明日香村の岩屋山古墳、奈良県桜井市の文殊院西古墳、群馬県前橋市の宝塔山(いずれもクリックすれば飛べます)など優れた切石技術で知られる終末期古墳ともやや違うように思われるのは全体に緑白色の緑泥片岩のためかもしれません。小川町下里地域(古墳の南側にある山間部)から採掘されたものだそうです。

 埴輪が使われていないこと、須恵器など出土品の特徴から7C後半の築造と考えられていますが被葬者はどのような地位を誇っていたのでしょうか。南側に流れる兜川を支配していた豪族だったのでしょうか。都心から2時間あまり。これほどの近場に横穴石室が残り見学が可能な古墳があろうとは驚きの一言です。普段は施錠されている石室ですが小川町役場に申し出れば開けてもらえます。アクセスは東武東上線小川町駅下車。駅から5分ほどの役場から1㎞ほどの穴八幡神社の鳥居を目指します。そこから南に下ると右手に整備された古墳の墳丘が現れます(撮影2017228日)。


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