入室に勇気のいった石室
 今回紹介するのは島根県出雲市、JR山陰本線西出雲から歩いて20分ほどのところにある日蓮宗の古刹 妙蓮寺の裏山にある古墳です。駅の南東に走る県道277号に出て北に1㎞ほど歩き下古志の信号の一つ先を右折すると動画4の冒頭の光景が見えます。墳長49mの前方後円墳は6C中頃に造られたと考えられています。後円部を北に向け前方部がかなり高くなっています。ただ動画4でおわかりのように墳丘の形は初夏ということもあって草におおわれよくわかりません。妙蓮寺山古墳が知られているのはくびれ近くの後円部に開口する横穴石室及び石棺です。

 このブログではかなり多くの横穴石室を紹介していますが今回ほど入室するのに勇気がいったのは初めてでした。薄気味悪いのです。入口には動画1にあるように観音開きになった板石が左右に立ち、その扉石を支えるかのように円柱状の石が転がっています。入らないでくれと言わんばかりです。中は真っ暗で見通しが効きません。雨のせいでぬかるんで足がとられます。ヘッドライトの光線の先にあったのは動画2でご覧になれますがぼんやりと浮かび上がる石棺でした。かなり窮屈な印象です。調べてみると玄室の幅は2.1mしかありません。高さは2.4m、長さは4.4mの玄室に幅1.2m×高さ1.4m×長さ2.2mの石棺が眠っていました。

 これまで紹介してきた出雲市の横穴石室と石棺と比べると、そのバランスは宝塚古墳(クリックすれば飛べます)とよく似ている印象です。同じ横口石棺のある今市大念寺古墳(クリックすれば飛べます)よりははるかに規模が小さく、実際、前方後円墳としての墳長も92mと丁度妙蓮寺山の二倍でした。ただ既に説明したように入口に据えられた観音開き風の二枚の板石と円柱のつっかえ棒のような石際立って目立ちます。どのような意図があったのでしょう。被葬者を葬った後に残された人々の意志だったのでしょうか。興味は尽きませんが出雲市の妙蓮寺山古墳パンフレットには「珍しい構造になっています」としか書かれていません。出土品はかなり多く玄室内からガラス製の丸玉、金銅製の鈴釧、鉄製銀象嵌円頭柄頭、須恵器などが発掘されており、その内容は今市大念寺古墳と類似する点が多く、同古墳に次ぐ有力な首長の墓ではないかと考えられているようです(前述パンフレット)。アクセスは冒頭に書いたようにわかりやすいです。境内に入ったあと墓地を抜ける必要がありますが案内板があるので迷うことはないと思います(撮影2016512日)。



妙蓮寺山古墳基本データ

所在地 島根県出雲市下古志

形状 前方後円墳

規模 墳長49m、後円部径25m 高さ4.5m、前方部幅22m 高さ7.5m

石棺

築造時期 6C

出土品  ガラス製の丸玉、金銅製の鈴釧、鉄製銀象嵌円頭柄頭、辻金具、鉄斧、鉄鏃、須恵器

墳丘から円筒埴輪

史跡指定 県指定

特記事項 横口式石棺 長さ220m 幅1.20m 高さ1.10m(縄掛け突起あるも確認できず)


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