横口式石棺で知られる石室


今回は既に紹介した今市大念寺上塩治築山古墳(いずれもクリックすれば飛べます)の石室に続く出雲市にある後期古墳石室、上塩治築山古墳です。まだ妙蓮寺山古墳、上塩治地蔵山古墳(いずれアップします)をアップしていませんが、どうして古墳時代後期にこれだけ立派な石室をもった墳墓が集中して出雲の地域に築かれたのか謎は深まるばかりです。畿内の古墳にも石棺が残っているところは数多くありますが、狭い地域に集中してこれだけ特徴のある石棺が揃い、どれも入室して観察できるところはないと思います。その意味でも貴重です。

ただ今回の宝塚古墳は方墳か円墳かもわからないほど墳丘の損傷が激しく、羨道の天井石も崩れ落ちているのが残念です。もっとも切石積みの石室内部及び石棺は上塩治築山古墳同様に高度な技術が用いられていることが誰にでもわかる素晴らしいものです。武骨な自然石が積まれた壁も個人的には好きですが、凝灰岩の切石積みは加工技術の進歩をうかがわせる恰好の材料です。今回の石棺も今市大念寺、築山と同様、横口式石棺で大きく長辺の一つが刳り貫かれています。ここから被葬者の魂は棺の内外を行き来したということなのでしょう。

アクセスは簡単です。JR山陰本線西出雲駅のホテル前の道を277号線まで進み北東方面に800mほどで左に出雲西高校が見えます。高校方面に左折すると動画1の光景がみえます(撮影2016年5月12日)。
宝塚古墳(出雲市)基本データ

形状 方墳か円墳か不明

規模 不明 石室 長さ3.6m、幅2m、高さ2.5

築造時期 6C

出土品 不明

史跡指定 国指定

特記事項 なし



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