円頭太刀の出土で知られる1号墳
今回紹介する岡田山古墳群の1号墳は前方後方墳の墳丘もさることながら出土した円頭太刀に銀象嵌で額田部臣と書かれていることがわかり一躍有名になりました(重要文化財に指定され展示館で常設展示されています)。古墳時代の文字資料はさきたま古墳群の稲荷山鉄剣はじめ非常に限られているからです。
八雲立つ風土記の丘の展示館から至近の距離にある1号墳は動画1でわかるように遠くからその姿を確認することができます。小規模な前方後方墳ですが前方部手前に24-5m四方のテラスが付属しているためにより大きくみえます。その手前の2号墳は径43mの円墳が小さくみえるぐらいです。残念ながら両古墳ともに墳丘は登頂禁止なので1号墳の後方部と前方部の関係、前方部と大きなテラスの関係はよくわかりませんでした。岡田山古墳群は両古墳に加え、小規模な古墳5基からなっています。
1号墳の後方部の西側には長さ5.6mの横穴石室が開口していて組合式家形石棺が置かれています。不思議なのは長さ1.5mしかなく高さ0.9m、幅も0.8mしかないことです。かなり小型です。副葬品も前述の太刀に加え、銅鏡、玉など多数発掘されています。ただ、石室と石棺がともに残り、しかも公開しているものは決して多いとはいえません。これまでアップしているものを思いつくままに並べてみると奈良県の都塚、市尾宮塚、赤坂天王山、佐賀県の西隅、岡山県のこうもり塚、群馬県の宝塔山、静岡県の賎機山といったところでしょうか。是非、比較してごらんください。古墳名をクリックすると直接飛べます。
それにしても八雲立つ風土記の丘に眠る古墳は幸せです。周囲に墳丘を遮るものがほとんどなく築造当時の姿を想像することが十分に可能です。
アクセスはJR松江駅一畑バス④乗り場 八雲行きで30分ほど。風土記の丘入口で下車して進行方向に進むと右に小さな坂があります。そこを登ると展示館裏の駐車場に出ます。交通量が多いのでご注意ください(撮影2016年5月12日)。
岡田山1号墳と2号墳基本データ
所在地 島根県松江市大草町
形状 1号 前方後方墳 2号 円墳
規模 1号 墳長24m、後方部辺11.5m 高さ3.5m、前方部幅11.5m 高さ3m
三段築成 2号 径43m 高さ6.5m
出土品 埴輪、須恵器、鏡、鉄刀(銀象嵌銘あり)、鉄鏃、鞍金具等多数
史跡指定 国指定
特記事項 銀象嵌銘のある円頭太刀は国重要文化財
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