ビジュアル的に美しい巨大前方後円墳
 今回の中期古墳は垂仁天皇陵と宮内庁が決めている宝来山古墳です。墳長227mの全国21番目の巨大古墳です。陵墓なので墳丘に登ることはできません。ただ陵墓が集中する百舌鳥・古市古墳群と違い動画からわかるように周濠の周辺に墳丘を遮る建築物がありません。そのため遠くからその堂々たる墳丘を一望することができます。訪れた時は生憎の雨にたたられましたが、残り桜越しに見る壮大な古墳はなかなかのものでした。動画3でご覧いただけます。

 動画1で触れていますが周濠の前方部東南部近くに小島が見えます。宮内庁は垂仁天皇陵の臣下、田道間守(たじまもり)命塚としています。陪塚です。天皇の命を受けた田道間守は不老不死の果物を探しに常世国に旅立ち、10年後ようやく果物を持ち帰った時には天皇は既に亡く、彼は自害して果てたと記紀は記しています。ただ、垂仁天皇が葬られているかというと疑わざるを得ないというのが一般的な見方のようです。第11代垂仁天皇実在説に立ったとしても皇統譜による99才まで生きたという年齢、53年間の在位期間などの記述と専門家による宝来山古墳の築造時期(5C前)とは全く合いません。

 天皇陵の謎(文春新書、2011)を書いた矢澤高太郎さんは、前方部側の周濠の拡幅と田道間守命塚とされる小島について、江戸時代に残された絵図のなかで小島が描かれたのは幕末に書かれた「山陵考」がはじめてだと述べています。つまり文久の修陵の際にもともと倍塚として存在した小島の外側にまで灌漑目的で周濠が拡張されたというのです。たしかに前方部の東南部は大きく広がっています。そういうことだったのかと思いました。
 美しい墳丘をみながら同じ大王墓といわれている墳長207m桜井茶臼山古墳のことを思い出しました。陵墓のために墳丘に登れない宝来山古墳、他方、そうではない桜井茶臼山古墳は少々残念な状況です。是非ご覧ください。

 近鉄橿原線 尼ヶ辻駅から徒歩5分です。大和西大寺駅から近鉄郡山方面に走る車内から右手にその姿がよく見えます(2016年4月7日)。

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宝来山古墳基本データ

所在地 奈良県奈良市尼ヶ辻町

形状 前方後円墳

規模 墳長227m、後円部 径123m 高さ17.3m、前方部幅118m 高さ12m

築造時期 5C

出土品 不明 盗掘犯からの聞き取りにより竪穴石室に長持型石棺があったことがわかっている。

史跡指定 陵墓につきなし

特記事項 周濠内の田道間守の墓とされる小島を含め倍塚が7基ある。

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