高さ4mの空間が広がる見事な玄室
 今回紹介する奈良県桜井市にある谷首古墳は後期末から終末期末(7C初めから7C前半)に造られたと考えられています。1024日にアップした安倍文殊院西古墳
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27日の艸墓古墳に隣接しており、三基の石室を比較してご覧頂ければと思います。古墳の石室を見始めてからさほど経っていない私でもその違いはよくわかります。三基の古墳のある安倍山丘陵には比較的古い時期から石室を持つ古墳が築かれていますが、巨大な石室が築かれるのは谷首古墳からだそうです(桜井の横穴石室を訪ねて、桜井市埋蔵文化財センター、2010)。安倍文殊院西古墳の精緻な切石積みとはだいぶ異なりますが、武骨な巨石が組まれた巨大な空間が私はとても気に入っています。高さは4mもあります。特に天井に近づくにつれ石を内傾させていく持ち送りの技法が見事です。墳頂には八幡神社が鎮座し墳丘は大きく改変されているために紹介されている規模は推定だそうです。石室から凝灰岩の破片が見つかったことから家形石棺が置かれていたとみられています。
 住宅地に囲まれた墳丘は遠景を収めることはできず、やむなく神社のある墳頂から南側に降りて石室に向う景色を収めてみました(動画1)。アクセスはJR桜井駅からコミュニティバス(循環線)で安倍文殊院で下車し境内を通り越して南側にある八幡神社を目指してください。徒歩10分ほどです。バスは概ね1時間に一本です。なお駅から観光案内所で地図をもらい歩いても十分に行ける距離です。30分はかかりません(撮影2015年10月27日)。



谷首古墳基本データ

所在地 奈良県桜井市阿部802

形状 方墳

規模 一辺約40m、高さ8.2m

石室 両袖式横穴石室 全長13.8m、玄室6m 幅2.8m 高さ4m

羨道長7.8m 幅1.7m 高さ1.74m

築造時期 7C

出土品 石室内から凝灰岩の破片

史跡指定 県指定

特記事項 墳頂に八幡神社、安倍山丘陵では最古の巨大石室

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