もっと知られてよい圧巻の石室!


 今回は群馬県の大室古墳群中、最初(6C初頭)に築かれた前二子古墳を紹介します。長野県にも積石塚で有名な大室古墳群がありますが、こちらは群馬県になります。当サイトではこれまで70を越えて古墳を紹介してきましたが、それぞれに見事な姿を現在まで残しています。そしてかなり多くの古墳が史跡公園として公開されています。ただ、単体の古墳が復元整備されている例が多く、前二子古墳を含め複数の大型古墳によって形成される古墳群を公園として整備している例は決して多くはありません。同じ群馬県の高崎市の保渡田古墳群のあるかみつけの里、埼玉県さいたま市のさきたま古墳公園、宮崎県西都原市の西都原古墳公園、大分県宇佐市の高部・高森古墳群のある宇佐風土記の丘、和歌山県和歌山市の岩橋千塚古墳群、香川県高松市の峰山公園にある石清尾山古墳群などが思い浮かびます。その中でも緑に囲まれた前方後円墳がいくつも築造当時を想像できる姿に復元されている大室古墳公園の光景は圧巻です。住宅地のなかに単体の古墳がポツリ残されているのとは違い古墳の印象が変わるのではないでしょうか。荘厳な葬送の儀式が行われたことが容易に想像できるのです。
 今回の前二子古墳は古墳群の中でも最初に築造されたと考えられています。その横穴石室は、東国で竪穴の埋葬施設から横穴に変わった頃のものだそうです。動画のキャプションにも書きましたが、かなり個性的な石室です。他の石室と比べてご覧ください。出土した副葬品からは、朝鮮半島との交流が行なわれていたことがわかります。なお詳しくは前原豊さんが書かれた「東国大豪族の威勢 大室古墳群」(新泉社、2009)をご覧ください。墳頂からは遠くに赤城山を、またすぐそこには埴輪が並ぶ、古墳群中最大規模の中二子古墳を望むことができます。
 アクセスは前橋駅北口から日本中央バス西大室線で終点の大室公園下車。50分ほどかかります。本数は日中で午前2本、午後2本程度です。ご注意ください(撮影2015年9月30日)。

前二子古墳(大室古墳群)データ
所在地 群馬県前橋市西大室町
形状 前方後円墳
規模 墳長94m、後円部径68m 高さ14m、前方部幅65m 高さ12m位か
築造時期 6C初頭
出土品 円筒埴輪、形象埴輪、須恵器、土師器、装身具、馬具、武器、農耕具、鉤状金具
史跡指定 国指定
特記事項 後円部の横穴石室は全長14mの両袖式(玄室幅>羨道幅)で、玄室手前の玄門に扉石を設けている珍しい石室です。
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