周濠から見る風情のある前方後方墳 
 後期古墳として紹介した巨大な石室の埼玉県の八幡山古墳の次は、また前期古墳に戻り奈良県天理市の墳長120mの下池山古墳を見ていただきます。616日にアップした西山古墳同様の前方後方墳です。墳長183mの西山古墳と比べると小ぶりな感じがしますが、数多くの前方後円墳が立ち並ぶ大和の地にあって100mを越える前方後方墳が存在していることに感慨を覚えます。以前紹介したように格は前方後円墳のほうが上であるといわれ、しかし、前方後方墳としては規模が大きい。どのような被葬者だったのか興味はつきません。築造時期は出土品等から4C央と考えられ西山古墳よりも早いと考えられています。
  後方部の埋葬施設からは長さ 6.8メートルの竪穴式石室が見つかり、内部からは保存状態のよい木棺とともに鉄製品等が出土し、石室に隣接する小石室からは、径36.7㎝と大形の内行花文鏡が見つかっています。 場所は621日に紹介した黒塚古墳から1kmほど桜井線長柄駅方面に北にあがったところにあります。動画4で紹介するように後方部頂からは宮内庁が継体天皇皇后 手白香皇女衾田陵に治定する墳長234mの西殿塚古墳がよくみえます(専門家の間では出土品や埴輪等から西殿塚古墳の築造時期は手白香の没年よりはるかに古いといわれています)。

魅力的な古墳ですが一度目の訪問では柳本駅と長柄駅の東側を走る169号線のさらに東側にあることはわかっていたもののたどり着くまでには時間がかかりました。長柄駅から歩いた二度目も結局は畑仕事をしていた古老に聞くことになりました。「すぐそこの池の向こう」と言われたのですが・・・。地図をよく眺めて訪ねてください(撮影2015年4月15日)。

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所在地 奈良県天理市成願寺町

墳形 前方後方墳

規模 墳長120m、 後方部 60m×57m 高さ14m、 前方部幅27m 

高さ 7m

築造時期 4C

出土品 石釧や勾玉、管玉、鉄器、内行花文鏡

史跡指定 国指定

特記事項 文中で触れたように内行花文鏡は直径37.6㎝と大きい。

もっとも福岡県の平原方形周溝墓からは直径46.5㎝のものが出土しています。


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