築造時と現状が比較できる工夫された復元古墳
前期古墳として紹介した福島県郡山市の大安場古墳と昼飯大塚古墳、どちらが先に築造されたのでしょう。もちろん素人の私にわかるわけもなく単なる興味にしかすぎませんが、そうしたことに思いを馳せてみるのも古墳めぐりの面白さの一つだと思います。前期中頃から末という築造されたと推定される時期も、この二つの古墳は同じです(どうやら最近では昼飯大塚古墳のほうが、新しく4C末、つまり中期の初め頃の築造とされています)。もしかしたら、同じ頃に懸命に墓づくりに励む人々を目にすることができたかもしれません。ただひとつ二つの古墳を分けるのは形状です。大安場古墳は前方後方墳、昼飯大塚古墳は前方後円墳です。そう、規模も昼飯大塚は動画でも全体像を捉えるのが困難なほど大きく、墳長は150mを数えます。大安場古墳の約二倍なります。
埴輪の並ぶ後円部頂には三つの埋葬施設(竪穴式石室、粘土槨、木棺直葬)があり、多数の鉄剣や鉄刀、農工具、土器、土師器類が出土しています。ここも他の古墳同様に盗掘されていたそうです。しかし、葺石を含め復原された古墳の姿は雄々しく、そういったことを忘れさせてくれます。
タイトルにも書きましたように、後円部の三分の一ほどは、周濠から三段の段築を含め復元されています。他方、前方部にかけての南側は復元前と同様に周濠と一段目は埋まった状態で復元されています。北側はほとんど手を入れていないようで、墳丘裾や周濠は住宅や畑地になっているようです。
昼飯大塚古墳を訪れたのは二度目。一回目は春たけなわの頃だったせいか墳丘は一面雑草に覆われていてかなりがっかりしました。再訪時は草刈りが終わった頃を見計らってでかけたところ、ちょうど業者の方が後始末をされているところでラッキーでした。古墳踏査は幾ちゃんのこだわりでも書いたように季節、時期を選ぶということは頭に隅においておかれるとよいでしょう。
アクセスは大垣駅前から赤坂総合センター行の名鉄近鉄バスで終点から歩いて5分です。センターのビルの真裏、左方向です。バスの本数は午前3本、午後3本ほどです(撮影、2015年5月14日)。
昼飯大塚古墳基本データ
所在地 岐阜県大垣市昼飯町
形状 前方後円墳
規模 墳長150m 後円部径96m 高さ13m 前方部幅80m 高さ9.5m
築造時期 4C後半
出土品 朝顔形埴輪、円筒埴輪、形象埴輪(家、蓋、盾、靫等)、鉄剣や鉄刀、
農工具、玉類、土器、土師器
史跡指定 国指定
特記事項 後円部墳頂に竪穴式石室、粘土槨、木棺直葬の三つの埋葬施設が存在する
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